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3年ぶりに富士スピードウェイを舞台として開催されたニスモフェスティバル。なかでもOPTがもっとも注目していたイベントはGT-Rとシルビアに代えて今回からZ33とV35で争われることになった“チューニングカーバトル”だ。これまでも、ことあるごとにVQ35のチューニング情報は伝えてきたけどレギュレーションにあわせてつくりあげられた12台のZ33とV35が同一条件のもとで速さを競いあうというのは、いままでにはなかった試み。サーキットにこれだけの台数がそろうのはコレが初めてということになる。ところが当日、なんとスタート前に雪が降りはじめるというハプニングが! けっきょく決勝レースに代えてパレードランを行うにとどまったのが心残りだけど 今回の特集では各ショップが手がけた究極のNAチューンドVQ35をはじめサーキット走行まで見すえたそのマシンメイクに迫ってみたいと思う。 |
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2002年に改修前の富士スピードウェイで行われた最後のニスモフェスティバル“チューナーズバトル”をBNR32のデモカーで制したオーテックツカダが、Z33でもその底力&速さをまざまざと見せてくれた。 まず注目したいのがエンジンチューンだ。組まれるパーツのほとんどはほかのZ33とおなじニスモ製ながら、電制スロットルをキャンセルしてニッサン車チューンの定番インフィニティスロットルを使っているのが、いかにもオーテックツカダらしいところ。 「純正スロットルはアクセルオフ時に一瞬遅れてエンブレが入るんだけど、それがイヤでさぁ。でも、オレんちじゃ純正コンピューターイジれないから、どうにもならないワケよ。だったらワイヤー式スロットルにしてVプロ制御のほうがラク。エアフロレスにもできちゃうしさ」というのは店長たかみっちゃん。 そこには、これまで数えきれないほどのGT-RにほどこしてきたATTKD Vプロエアフロレスシステムのノウハウがいかされている。ちなみに、燃調&点火時期の制御をはじめ、スピードリミッターカットとレブリミット引きあげまでをVプロが担当。VQ35チューンでポイントとなるVTC制御は、アミューズハイテックROMが担当するといったスンポーだ。 いっぽう、足まわりも大きな見どころといえる。オリジナル車高調 仙脚 はリヤのコイルオーバー化が図られ、直巻スプリングの使用によってセッティング幅をイッキに拡大。これで、とくにコーナリングにおけるリヤの安定感を大幅に向上させている。 ドライバーの木下選手いわく「クルマ全体のバランスがすごくイイ。パフォーマンス的にはS耐マシンとGT300の間くらいにあると思うよ」。的確にして、しかもじつに明快なそのコメントから、オーテックツカダZ33の完成度がよくわかるってものだ。 |
純正サージタンクにエスプリのスペーサーをかませて容量アップ。ファンネル周辺の段つき修正や拡大加工を徹底することで、アニバーサリー用を上まわるほどの高回転高出力型エンジンに仕上げている。レブリミットは8000rpmだ。 |
サージタンク側を加工して装着されたインフィニティスロットル。これで、バタフライ径は純正スロットルの70φに対して80φとなり、面積比では30%以上も拡大。エアフロレス化やサージタンク加工と相まって大幅な吸気効率アップを達成している。 |
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バンパーに穴開け加工をほどこし、エアクリーナーボックスへとダイレクトに走行風を導くダクトを製作。たかみっちゃんいわく「ひょっとしたら高速域ではラムエア効果が期待できるかもね」とのこと。 |
コイルオーバー化が図られたリヤサス。ATTKD仙脚は、オールラウンドな性能を発揮する車高調だけど、このZ33では完全なサーキット仕様とされている。別タンク式もテストしたそうで、けっきょく最終的には別タンクなしのベーシックなタイプが選ばれた。 |
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助手席ドアの下あたりからうしろをのぞきこんむとこんなかんじ。リヤホイールアーチの前端までは左右のみ、そこからうしろはシャシー全面をパネルで覆い、フラット化を図っているのがわかるだろう。 |
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VQ35チューンにいち早く着手してきたアミューズだけに、チューニングノウハウは群を抜いて豊富。チューナーズバトル用エンジンを製作する際にもさまざまなアイデアがあった。そんななかから最終的に田名邉サンが選んだのは、ニスモ高圧縮ヘッドスペック1(オリジナル加工済み)を柱とした“富士専用スペック”ともいえる仕様だった。 各チューナーによって選択がわかれたインマニは、ストレートのノビが若干劣ってしまうのを覚悟のうえで中間トルクの出しやすいノーマルを使用。高回転型になる35thアニバーサリー用のインマニを使わなかったのは、テスト走行の結果、富士でタイムを左右する後半のテクニカルな上り勾配セクションを優先したからだ。 ただし、そのまま使ったのではピーク後の落ちこみが激しいので、こちらもオリジナルスペシャル加工をほどこすことでピークの発生回転数を6400rpm付近まで引きあげ対処している。これでもトップスピードはライバルに多少の差をつけられてしまうのだけど、そこまでの到達時間が早いので、実はストレート通過にかかる時間は遜色ないレベルになったということだった。 さらに決勝はキャンセルとなってしまったけど、長丁場に備えて冷却性をアップしたGTダクト仕様のエアロフォルムバンパーを製作してくるなど、とても精力的な作りこみをしてきたアミューズ。チューナードライブ1番手という好タイムだったにもかかわらず、まだまだ満足がいかないようすだった。 |
中間域を重視したエンジンはタイムアップだけでなくスケジュール的に入念なテスト走行ができないため、高回転化によるトラブルの発生をさけたかったという意味もある。トルク値は全車中ナンバーワンとの呼び声も。ニスモフェスティバル後のテスト走行では1分55秒中盤をマークした。 |
オリジナルエアロの開口部を広げてGTマシンのようなセパレートダクトを作ってきた。アウトレットダクトつきのボンネットとあわせて、クーリング対策は万全。問題が起きるような兆候は微塵もなかったという。 |
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超フラット&ハイスピードの富士にあわせて減衰力をアップ。これによって安定感はグッとアップしたのだけど、ターンインがニブくなったので暫定的にフロントスプリングを従来よりも4kg/mm落とした。「ちょっと大胆かな? と思ったけど好フィーリングだったよ」と田名邉サン。 |
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ニスモがVQ35にむけて用意しているエンジンチューンは、いまのところスポーツリセッティングとS1の2種類。その上のメニューとして、ちかい将来に市販化を予定しているのがサーキット走行まで見すえたR1だ。今回、富士に持ちこまれたこのZ33には、その開発車両という大役があたえられていたりする。 そんな経緯もあって、エンジン関係では吸排気系を中心に多くの試作パーツが組まれている。たとえば、スロットルボディは吸気抵抗の低減をねらい、バタフライ径を拡大加工。それにともなって、サクションパイプの接続ぶぶんにあるしぼりこみも取り払われている。また、エキマニも試作品を装着するなど、とくにNAチューンでは初歩的かつ、パワー&トルク特性に大きく関わってくるアフターパーツの製作とテストが行われているワケだ。 ちなみにスロットル大径化で1〜2ps、エキマニ交換でも4〜5psほどのパワーアップにとどまるという。その結果をどう見るかはひとそれぞれだけど、ワークス系メーカーとしては単にスペックを追い求めるだけではない。耐久性や信頼性までふくめ、チューニングの効果がどのていどあるか? それを知ったうえで市販化まで持っていくことが重要なのだ。 あらゆる意味で、つねに先頭を走ることが宿命づけられたニスモZ33。これからのVQ35チューンの発展は、このZ33がカギを握っている…といっても大げさじゃない。 |
“ストレートスピードをかせぎつつ、Bコーナーから先の連続S字区間をスムーズかつ速く走れるように”というテーマのもとにチューニング。トルクが目標値に届いてないというけど、最高出力はダイノパック係数ゼロで340psをマークしている。 |
触媒後のメインパイプにはニスモがラインアップするヴェルディナマフラーを装着。さらにリヤピースは純正オプションとして設定されるチタンマフラーを組みあわせている。 |
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ダンパーユニットはRチューンの試作品だけど、このZ33に組まれたパーツのなかでは比較的はやい段階で市販されそう。また足まわりではフロントアッパーアームと、各アームブッシュがニスモ強化品に交換されている。 |
サーキット走行まで考えたR1とはいえ、とうぜん街乗りでの快適性も考慮。センターコンソールにある純正オプションのモニターにはイグニッションオンで“R-tune”のロゴが浮かびあがるような演出もほどこされる。 |
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エンドレスカラーのZ33は、東名パワードがエンジンを手がけ、シャシーはスーパーGTやS耐でエンドレスZのメンテを行うRS中春が担当するという、強力なタッグのもとで仕上げられた1台。でもってその正体は東京MX、TV埼玉、栃木TVで放映されている番組『Car Hyper』の企画車両だったりもする。 エンジンは基本的に東名パワードのパーツを中心に、ラインアップがないモノに関してはニスモ製品を取り入れながら必要に応じた加工をほどこして組まれている。具体的にはカムとバルブスプリング、コンロッド、エキマニが東名製だ。 なかでもカムとエキマニは、全開区間が長くアベレージスピードも高い富士にあわせたスペシャル品が投入されているのがポイント。 もともと東名がラインアップするVQ35用プロカムは、もっとも過激なモノでも作用角は268度。今回はシリンダーヘッドの加工などにより圧縮比が13.0にまで引き上げられたため、市販品にくらべ一段と作用角の広いIN280度&EX272度をセットすることが可能になったのだという。 また、こういったヘッドまわりのスペックの向上にあわせてエキマニも高回転仕様に。集合部までの長さをツメるとともに集合部の形状も変更。市販品は4000〜5000rpmを重視してるけど、富士スペシャルは5000rpm以上をねらった完全な上フリの特性とされる。 これらのパーツは、今後のテスト結果しだいで市販化も検討されてるという。VQ35チューンがさらに広がりを見せるのも、そう遠くはないハズだ。 |
試作のカムとエキマニを組んで高回転型仕様へ。ノーマルのインジェクターでは、その容量をほぼ100%使いきってしまうことから、よゆうを持たせる意味で370ccを70〜80%で使っている。マネージメントは純正書き替えの東名ECUだ。 |
ノーマル圧縮比10.3のままでは、カムの作用角は268度が限界だったが、それを13.0まで上げられたことでIN280度、EX272度の組み合わせが可能に。このカムは中心角の関係でバルタイ変更が必要ないため、VTCはノーマルを使用している。 |
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ダンパーには、シャシー担当のRS中春が使いなれてるジールのS耐用を使用。それに組みあわせるのは、レートの安定性やしなやかさに定評のあるXコイルだ。RS中春メンテと聞くと、足まわりも相当にやってあるように思うけど、アーム類などはノーマルのまま。 |
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ヤシオファクトリーのZは、エンジン内部の主要パーツすべてをニスモ製で組んだ、今回参加したなかでは標準的な仕様だ。 エンジン製作時には「まだ改修後の富士スピードウェイを走ったことがなかった」ということで、どのような仕様にするか迷ったそうだけど、最終的には35 thアニバーサリー用インマニを使うことで高回転フリの特性に仕上げてきた。ダイノパック係数ゼロによるパワー計測では300.1psをマーク。このパワーは単にパーツを組みこんだだけではなく、かなり綿密にECUセッティングを煮つめていった結果という。 製作途中、暫定的なデータ(これでも走行に支障はない)で計測したときはたった248psしか出てなくて、さすがの岡チャンも「これはヤバいなぁ」と思ったとか。しかし、そこからセッティングをツメていくにしたがって、パワーがグングン増してくるところに「シルビアもいいけどZも楽しいね」とご満悦だ。 タイムのほうはドライバーがコースに慣れていなかったことと、ふだんから街乗りしている完全なストリート仕様ということを考えれば上出来。2分を切ることができなかったのはザンネンだけど、もうちょっと走りこむだけで、あえて仕様変更をしなくてもタイムを詰められる手応えはじゅうぶんにあったという。 今後は中速トルクを出すためにインマニをノーマルに戻したりして変化を見てみたいということだ。 |
エンジン内部はニスモ製パーツを組みこんだオーソドックスな仕様。ただし、各部の精度を合わせたり修正などは行っている。コンピューターセッティングのみでパワーが約50psも変化したのにはさすがの岡チャンも驚いたとのこと。 |
いままでのミニサーキット仕様からスプリングを前後ともに2kg/mmほどアップしてきた。さらにLSDも2ウェイに変更することで国内屈指のハイスピードコースに対応。 |
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ガソリン約60リットルを積んだ状態で車重は1470kg。「ギリギリまでしぼりこんでもよかったんだけど、これくらいなら問題ないでしょ」とは岡チャン。 |
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Z33用オリジナルパーツを多数リリースしており、ボルトオンターボキットも好評というセントラル20。当然ながら今回はレギュレーションに合わせてハイコンプNA仕様で登場だ。 「Zの柳田」がプロデュースするパーツは機能性だけでなく美しさにまでこだわっていることで有名で、エンジンルーム内はサーキットを走るマシンとは思えないほどスッキリ。 またサスペンションセッティングは、高速サーキット用に若干のモディファイは受けてるものの、そのままストリートを走ってもなんら不満のない仕様となっている。 そんな生粋のストリート仕様でありながら各部の熱対策などもキッチリ行い、サーキットでの連続したハードな走行でもまったく音を上げないところがセントラル流だ。ちなみに、このチューナーズバトルに向けて、ニスモが用意した練習日もふくめておそらくもっとも周回を重ねていたのではないか思われる。しかも、そのほとんどの周回で2分フラットというタイムをコンスタントに刻む。劇的な一発の速さではなく、おそろしいまでの安定度の高さで勝負するタイプという印象だ。 エンジンに関してはヘッド、ピストン、コンロッドが開発中の試作品ということで、これらはいずれ市販される可能性もあるということ。また、35thアニバーサリー用サージタンクを使うことで高回転に振ったエンジン特性にあわせ、ファイナルを4・3へと変更してるのもミソ。コース後半のテクニカル区間でも回転が落ちこまないようなセッティングだ。 今回はあえてストリート仕様をほぼそのまま持ちこみ、その完成度の高さをアピールしてきたのだ。 |
エンジンルームで目立つのはオリジナルのエンジンカバーと試作品のサクションパイプ。バンパーダクトからフレッシュエアを積極的に取りこめるようにレイアウトされているのだ。 |
足まわりはオリジナルセッティングのエンドレス製ショックを使用。ブレーキはオリジナルの6ポット&4ポットキットで、数多くの周回をかさねてもだいじょうぶというから頼もしい。 |
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エンジンのデータ取りのために追加メーターがセットされているが、それ以外はストリート仕様のまま。ひたすら安定したタイムを刻めるクルマとドライバーの組みあわせはサスガだ! |
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このマシンにはニスモ大森ファクトリーの手によってチューニングされたエンジンが搭載されている。その内容はニスモ高圧縮ヘッドスペック2を使用し、ピストンとコンロッド、スロットルボディはおなじくニスモの試作品。エキマニは東名パワード製を組み合わせている。 このエンジンはテスト走行でもトラブルはなく、ゼルオリジナルのチタンマフラーからは快音を轟かせていた。しかし、シェイクダウンということもあってタイム的にはイマイチ。しかもデフオイルが吹き出すなどの問題が発生してしまったのだ。 しかし、そこからわずかな時間で足まわり(マインズ製)の煮つめを行うと同時にデフクーラーを追加するなどして対策。これらの的確な対応によってなみいるライバルを押しのけて予選4位の好タイムをマークしてくるあたり、技術力の高さをうかがわせる。 ドライバーの菊池選手によれば、テストのあとにスプリングのレートをアップしたにもかかわらず、足まわりの動きはしなやかさを失っていないという。各部のブッシュを強化していることもあってフィーリングはとてもシッカリしており、Sタイヤのグリップをじゅうぶんに引き出せるようになってるとのことだ。 各分野のプロが手がけたパーツを組みあわせて、最後はゼルの手によってその威力をあますところなく引き出すことに成功。コラボメイクの好例と言えそうだ。 |
NISMO大森ファクトリーの手によってチューニングされたエンジン。今回のために製作されたオリジナルの極太マフラーはカン高いサウンドを響かせて好調さをアピールしていた。 |
サーキットなどでは冷却性能が不足してしまいがちのZ33だけに、アルミラジエターと大容量オイルクーラーで対策。テストの結果、デフクーラーも追加された。 |
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足まわりは確かな実績を誇るマインズ製をチョイス。しなやかな動きがじまんのオーリンズ製ショックとアイバッハスプリングという組みあわせだ。 |
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サンラインといえば、筑波58秒、岡山国際サーキット1分35秒をマークしているチョッ速のS15サーキット仕様でよく知られるショップ。「ただ、ちょっとS15にこだわりすぎたわ。Z33は1年前につくってから、なんも手を入れてないねん」と代表の佐藤サンはいう。 そんなワケで、いまのところ東名プロカムに強化バルブスプリング、それと吸排気チューン+Vプロ制御という超ライトな仕様だ。ちなみにカムはストリートでの実用性を考えて、低中速フリの256度をセットしている。 しかし、S15でのタイムアタックがひと息ついたいま、Z33を進化させるために画策中だ。エンジン関係ではニスモスペック2ヘッド&カム、S耐用ピストン、東名コンロッド、フリクションロスがすくない35thアニバーサリー用クランクをバランス取りして組み込むメニューを予定していて、すでにパーツはそろっていたりする。ただ、短期間でこれらを組みあげ、セッティングを出すのはリスクが高いと判断し、今回はあえてムリをせず、現状のまま参加することにしたそうだ。 また、外装も大幅なモディファイを計画中で、カーボン製パーツを使ってGTルックに仕上げ、東京オートサロンでその姿を披露するんだとか。となると、空力性能も格段に向上するハズ。S15のように完全なサーキット仕様ではなく、あくまでストリート仕様を前提に進化させていくそうだ。またまたサンラインのマシンが全国のサーキットで暴れてくれるのは、まちがいないと見た。 |
排気系で大きくパワーロスしているといわれるVQ35。そのため、エンジン本体はカム&バルブスプリングのみ交換というメニューながら、エキマニもふくめた排気チューンが効果を発揮し、ボッシュのシャシダイでは330psをマークしている。 |
街乗りだけならまず問題になることはないけど、サーキットを走らせる機会が多いZ33はオイルクーラー装着が欠かせない。しかも、富士のように全開区間が長いサーキットでは、このコアサイズだと容量不足だという。 |
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足まわりは何種類もテストした結果、しなやかな動きでストリートでもサーキットでも不満がなかったファンクションV6(絶版)とXコイルという組みあわせで落ちついた。「これって、ある意味ファンクションXのテストやん!?」と佐藤サン。 |
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サーキット、ゼロヨン、ドリフト、それぞれのステージに積極的にチャレンジするI&Dは、そこでの開発をユーザーへとフィードバックすることを目的としている。チューニングカーバトルに参加したのもその一環。ただし、ニスモのスペック2ヘッド&カムはまだ市販されていないから、S耐用ピストン&コンロッドは一般ユーザーが手に入れらないから…という理由で、今回ニスモから支給されたパーツの装着は見送っている。 ということでエンジンチューンの内容は、ニスモスペック1ヘッドにストレートポート加工をほどこし、カムはIN、EXともにオリジナルの272度をセット。それ以外はニスモやオリジナルで市販しているパーツか、あるいは純正パーツをそのまま使っているそうだけど、ポート加工がかなり効いてるようで最高出力は306psをマーク。とくに中〜高回転域でのパンチ力が大幅に向上したという。 じつはI&DがZ33に本腰を入れて開発するのはこれがはじめて。しかも、ニスモフェスティバル直前に筑波をいちど走らせただけで、この日が事実上のシェイクダウンだったりする。つまりエンジンだけでなく、足まわりやボディ剛性など、すべてがまだテスト段階なのだ。それでも、予選では2分2秒台を記録。いまの仕様でのアタックとしては、好タイムといってもイイ。さらに予選をおえて今後の課題も見えてきたというから、これからが楽しみな1台だ。 |
VQ35チューンで真っ先に行ったのがインマニとサージタンクの容量アップ、くわえてポートの段つき修正。ターボのように強制的に空気を送りこめないぶん、吸気量の増加とスムーズな空気の流れは欠かせなかったというわけだ。 |
足まわりはAPエンジニアリングと共同開発したオリジナルのサーキットスペック。まだテスト段階ということもあり、予選ではアンダーステアの強さが気になったという。とりあえず、現場でできることとして車高を調整したが、決勝を走る機会は与えられなかった。 |
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S13、JZX100と、これまでのデモカーすべてにGTウイングを装着していたこともあって、これはI&Dとして欠かせなかったという。ただ、高速コーナーでのトラクションはよかったものの、直線では抵抗になり、最高速は思ったよりも伸びなかったようだ。 |
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アルティメイトが持ちこんだのは、エントリー車両で唯一の北米仕様。それだけでも目を引くのに、さらなるサプライズがエンジンルームにあった。 まるでウデを広げているかのように、サージタンクから左右にのびる2本のパイピング。なんと吸気系を左右バンクでわけたツインスロットル&ツインエアフロ仕様なのだ。 「そもそも3.5リットルという排気量に対して純正スロットルはバタフライ径がちいさすぎると思うんです。とくに高回転をねらうとなると。そこで、左右バンクの吸気系を完全に独立させれば、吸気効率もイッキにアップするんじゃないかと思ったワケです。もちろん、ほかのひとが思いつかないことをやってやろう!っていう気持ちもありましたけどね」とは代表の高賀茂サン。 サージタンクはワンオフ品で内部に仕切り板をもうけて左右バンクを完全分割。各サクションパイプには、純正スロットルとエアフロがひとつずつセットされる。制御はとうぜん純正ECUだけど、エアフロを並列でつないだため通常0〜5ボルトのエアフロ電圧が最大2.5ボルトに低下。となると、全開時でもインジェクター噴射量は本来の半分になってしまう。そこでニスモ480ccインジェクターに交換して、半分の噴射量でもノーマルと同等の燃料を確保しているってワケだ。 イベント直前に完成し、現状はやっと動かせるていど…という仕上がり。まだまだこれから試行錯誤がつづきそうだけど、独創的なVQ35チューンとしてぜひモノにしてもらいたいね。 |
左右独立のツインスロットルというとアタマに思い浮かぶのがVG30だけど、それとは似ても似つかない仕上がり。左右にのびるサクションパイプは、アルティメイトによる完全なワンオフとなっている。 |
そのおもかげはほとんどナシ。内部は左右2室にわけられるだけでなく、気筒ごとのファンネルももうけられ吸気効率の向上が図られる。さらに、カバー全体を30mmカサあげして大幅な容量アップも実現しているのだ。 |
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砲弾型サイレンサーを持ち、左出しへとあらためられたワンオフチタンマフラー。テールエンドだけでなく、シャシー下面をはう94φのメインパイプが迫力だ。デフキャリアのうしろにはデフオイルクーラーも確認できる。 |
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「ホントはニスモのスペック2ヘッドとカムに、オリジナルのピストンとコンロッドを組みあわせる予定だったんだよね。ほら、今回はニスモから参加ショップにパーツの支給があったでしょ。だから、みんなおなじになっちゃうとツマラナイと思ってさ」というボスの藤岡サン。残念ながらオリジナルのピストンとコンロッドが間にあわず、ニスモS耐用パーツで代用。ヘッドを加工する時間もなく、まさに素組みしただけの状態で持ちこむことになった。 この仕様でのダイナパック計測値は290ps/37kgm。藤岡サンは300psオーバーを期待していたけど、いまの仕様ではこれが限界。ただ、トルクが太くなったことで、街乗りでのあつかいやすさも、サーキットでの楽しさも格段に向上しているそうだ。 でもってボスとしては、この仕様でアタックしたことから新たな収穫があったみたい。口径が大きく、吸気管長が短い35thアニバーサリー(MC後期)用インマニに交換すればカクジツに300psオーバーをねらえるし、現状42.7φのエキマニを50φにすれば、さらなるパワーアップも図れそうだという。 となると、とうぜん高回転域でのパンチは向上するハズ。いっぽうで低中速トルクが犠牲になるってことも考えられるけど、そこはいま組まれているS耐用よりも軽量に仕上がったオリジナルピストン&コンロッドがもたらすレスポンスのよさをいかせば…と、期待はふくらむいっぽうだ。これはボスZ33から目が離せそうにない。 |
コンロッド&クランクメタルがオリジナルのほかは、ニスモと純正パーツを組みあわせた状態。今後はインマニの容量アップ、オリジナルの腰下へのグレードアップなどを計画している。「300psオーバーのZなら、ターボ車にだって負けないよ」と藤岡サン。 |
オリジナルとなるフルチタンマフラーは、メイン76.3φ、テール120φ。パワー&トルクアップや軽量化を実現するだけでなく、NAチューン+フルチタンがもたらす乾いたエキゾーストノートもじまんの逸品だ。 |
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足まわりはプロドライブの試作品でバネレートは前後13kg/mm。コイルオーバー式に変更するとボディの負担箇所が変わるから補強が必要…という理由で、リヤにはノーマル形状を選んでいる。16段の減衰力調整により、オールマイティに対応するのも魅力だ。 |
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「打倒! ポルシェGT3」をテーマにチューニングを進め、OPTでそのメイキングを連載中のMCR V35。チューニングカーバトルでは特認車両という位置づけでV35のエントリーはこの1台だけだ。 エンジンは、ひとことでいうとフルニスモ仕様。ただし、各パーツを素組みしただけではなく、お約束のポート研磨をはじめ、シリンダーホーニングやダイナミックバランス取り、バルブガイド打ち代えまで行い、各部クリアランス精度にとことんこだわって組まれている。 なワケで、使ってるパーツはおなじでもNAとしてのチューニングレベルは、参加車のなかで1〜2位を争うモノ。なにより、触媒つき&ダイノパック係数ゼロの計測でハジキ出された328psという最高出力が、レベルの高さを証明しているといってイイ。 そのいっぽうで「なんどもテストしたけど、足まわりのセッティングがどうにも決まらないんだよね」とMCR小林サン。それもダンパーとスプリングが別体式で、レバー比の関係から16kg/mmのスプリングでも踏んばりがたりないリヤサスがネックだという。 それともうひとつ、Z33よりホイールベースが20cm長く、前後トレッドが35cmせまいディメンションも走りに影響。とくに100Rや後半の連続S字セクションでは、Z33以上に挙動がシビアになるそうだ。 Z33より条件が不利なのはわかっていながら、それでもV35で参戦。12台中6番手のタイムは大健闘だ。 |
本文でふれた作業以外にも、ピストン&コンロッド重量あわせやピストンリングの合い口クリアランス調整、バルブシートカット&Rバイト加工などなど、その内容すべてはとてもココでは書ききれない。くわしくは先月&今月号のOPT連載ページを参照してくれ! |
小林サンの計算だとリヤサスのレバー比は2.2:1。つまり16kg/mmのスプリングでも実効レートは7kg/mm強にすぎない。そこで最終的にはコイルオーバー化を図り、バネレートが幅広く用意された直巻きスプリングでセッティングしていきたいとのことだ。 |
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Sタイヤ装着でのサーキット走行にマッチさせるべく、ストリートを重視したこれまでのテインタイプCS改MCRバージョンから、スーパーレーシングの試作品に交換。別タンク式で、伸び/縮み側とも20段階の減衰力調整を可能にしている。 |
内装はすべて残したまま軽量化するのがMCR流。チューニングカーバトル仕様でもそのポリシーは貫かれ、エアバッグ取りはずしやCFRP製シートへの交換といった作業の積みかさねによって、最低規定重量となる1450kgまでウエイトダウンされている。 |
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