OHLINS DFV MODEL From OPTION2[2006.05] | TOP > web マガジン > パーツテスト バックナンバー > OHLINS DFV MODEL |
“PCV”の発表以来、6年ぶりとなるオーリンズのニューモデルがこの“DFV”。“デュアルフローバルブシステム”と呼ばれる新開発のサブバルブを採用しているというこの製品、今までの車高調といったいどこがどう変わったのか? メーカーインタービューと草の池田による試乗インプレで検証するよ。 |
理想的なサブバルブ“DFV”は 伸び側にも縮み側にも作用する |
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オーリンズはスウェーデンに本社を持ち、2輪を中心に活躍するショックメーカー。日本ではカロッツェリアジャパンが、国産車用車高調の開発や販売をサポートしている。 そのオーリンズの新しい車高調が、新開発の“DFV(デュアルフローバルブシステム)”を搭載した『DFVモデル』。伸び側と縮み側の「ショックがストロークしはじめる瞬間の減衰力」をコントロールする機構が組み込まれた製品だという。 「現行モデルは、縮み側にメインバルブと並行する形で“PCV”というサブバルブが取り付けられているのですが、このサブバルブを伸び側にも組み込みたかったんです。これがDFV発想の原点ですね」とはラボ・カロッツェリアの舟橋さん。 単に伸び縮み両方のサブバルブをショックに組み込むだけなら、PCVが開発された6年前の時点でもできたかもしれない。でも、サブバルブユニットをふたつも組み込んでしまうと、そのぶんショックのストローク量が減ってしまい、基本性能がスポイルされてしまう。そのため、コンパクトな設計かつ、伸び縮み両方のバルブを一体化したサブバルブ“DFV”の開発が進められたワケだ。 DFVの構造はカットモデルとイラストで説明するとして、知りたいのは「性能的にどんな点が変わったの?」ってこと。 舟橋さんに聞いてみると「縮み側だけでなく、伸び側にもサブバルブを設けることで有利になった点は、路面に対してよりスムーズにショックが動くようになったことです」とのこと。“凸の段差を乗り越えるケース”を考えてみるとわかりやすい。 そもそもサブバルブはピストンに設けられたメインバルブよりも先に油圧をリリースするため、ショックの動きはじめがスムーズになと言われている。 縮み側だけにサブバルブを設けた場合、凸へ乗っかりはじめた瞬間にサブバルブが働いて衝撃を吸収=乗りごこちがよくなる。ただ、凸の頂点から平らな地面に戻るとき(ショックが伸びるとき)はサブバルブがないためにメインバルブに頼ったセッティングとなってしまい、接地した瞬間の衝撃が大きくなりやすい=乗りごこちが悪いと感じやすいんだ。 これが縮み側と伸び側の両方にサブバルブが組み込まれていると、凸への乗っかりはじめと、凸の頂点から平らな地面に戻るときの両方でショックの動きだしがよくなる=衝撃が少なくなる=乗りごこちがよいと感じやすいのだ。 じゃ、実際のところ、ドライバーはどう感じるのか。草池こと草の池田に試乗してもらいましょう。 |
このピストンがDFV。伸び側と縮み側のサブバルブが一体化したものと思ってもらえればOKだ。サイズをコンパクトにまとめるのに苦労したという。ショックのストローク量を犠牲にすることなく、新機構を組み込むことに成功しているのだ。 | |
伸び側、縮み側とも3つの経路を通すことで、いままでメインバルブだけではセッティングできなかった“減衰力が立ち上がりはじめる時間”をコントロール。メインバルブを通過する前にサブバルブ部から油圧を逃がすことで、乗りごこちやステアリングレスポンスのセッティングを可能にしているんだ。 | ||
DFVの導入に合わせ、CT9A用全長調整式とし、フロントは倒立タイプ、ケースはスチール、ブラケットは高剛性のアルミを採用。リヤはアルミケースを採用し、バネ下の軽量化に貢献。標準のスプリングはフロント10kg/mm、リヤ8kg/mmで、減衰力は20段調整。伸び側の減衰力と縮み側の減衰力を同時に調整するタイプだ。 | ||
草の池田’Sインプレッション 「とんでもなく接地感が高くて不安なく踏める車高調ですね!!」 |
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乗ってすぐの第一印象は“やわらかいかな?”って感じたんですけど、コーナーに入ったらロールしながらもスッときれいに曲がっていってしまうんです。単にやわらかい車高調じゃなくて、粘りながらしなやかにコーナリングしていく不思議な車高調なんですよ。 特徴は路面からの情報量が多いってこと。どんな路面を走っていて、タイヤがどれだけグリップしているかがよくわかる。接地感がとても高いおかげで、安心して攻められます。今回はドライでの走行でしたけど、ウエットだったらもっとこの車高調のよさが出たかもしれませんね。 また、乗りごこちもかなりいいですね。ストリートからサーキットまで使えるといううたい文句はウソではない感じ。純正タイヤをベースにセッティングをしているそうで、たまーに走行会へ行くというひとにはもってこいの足まわりです。 Sタイヤを履くひとはスプリングをもう少しかたいものに換えたいですけど、ネオバやRE01Rクラスのハイグリップラジアルを常時履いているひとであればツルシの状態でOK。減衰力も使える20段調整という感じで、変化の具合もすごくいいですね。「乗りごこちがよくて、攻められるアシがほしい」っていう、よくばりなひと向きの車高調ですね。 |
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カロッツェリアジャパン 舟橋さん 「ひとことで言い表すならば「スポーツ走行性能をスポイルすることなく、ストリートでの乗りごこちも重視した欲張りな車高調」です。オーリンズとしては、PCV以来6年ぶりとなる画期的な機構の変更を行なった自信作。もちろんオーバーホールや減衰力の仕様変更にも対応できます。スーパー耐久やスーパーGTでも認められたオーリンズの性能を、ぜひ愛車で体感してくださいね」 |
問い合わせ:カロッツェリアジャパン 03-5851-1852 http://www.carrozzeriajapan.co.jp |