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IDEALIZM K20A-MID MR-S [ZZW30] From OPTION2 [2006.07]
NA最速を目指す!!
K20A搭載のコンプリートモデル
IDEALIZM K20A-MID
MR-S [ZZW30]
小手先の改造じゃない根本的な解決が将来につながる!!
 このMR-Sは、セントラルサーキットで開催されたOPT2耐久 第1戦で、総合優勝を飾ったハーフウェイのデモカー。去年から参戦していたK20Aエンジン搭載のコンプリートカーの発展版で、エンジンを2,4L化し、ワイドボディを身にまといアタックカーとして新たに製作されたものだ。
 MR-Sにエンジンスワップというと“色もの”みたいな印象を受けるひとも多いかもしれないけれど、このスワップはすごくまじめなスタンスでたどりついたもの。というのも、当初ハーフウェイでは手軽なミッドシップという思いでMR-Sをデモカーにしてみたところ、搭載されている1ZZエンジンが、今ひとつパッとしない。ちょっとしたチューニングから、最終的にはターボ仕様まで試してみたけれど、それでも思いっきり不安なく、そして速く走らせるには至らなかったというんだ。
 実際、エンジン内部にまで手を入れてターボ化するとなると、現実的じゃない費用がかかってしまう。また、たとえエンジンをキッチリやったとしても、駆動系などの強度に不安が残る。
 デモカーとしてMR-Sを仕上げながら、漠然と将来のことを考えていたとき“これじゃ、お客さんにフィードバックできるデモカーにはならないッ!!”と決心がついたそうだ。そこで、実行に移すことになったのが、以前から構想していたというVTECエンジンの移植。2LモデルのK20Aを、ミッションまで移植すれば、駆動系の不安は解消。ただし、ドライブシャフトに関しては、強度を維持しつつMR-Sに合わせるためにワンオフで製作することになったということだ。
 製作時にはすでに、コンプリート仕様にすることを前提にしていたので、搭載のためのすべてのパーツに関しては治具どりしながらの作業となったそうだ。
 製作にあたっていちばん苦労したのは、コンピューターなどの制御関連。これは街乗りを前提にしたコンプリートカーを目指すための苦労で、エアコンやメーター類、そしてパワステなどを動かすために、純正のコンピューターが必要だったこと。しかも、純正のコンピューターには元のエンジン(1ZZ)から入力されていた情報をすべて正しく送らないと、CAN通信がエラーを検出してしまう。そこで、搭載されるK20Aには、トヨタのクランク角センサーなどが追加で装着されているよ。
 エンジンの駆動に関しては、基本的にDC5などK20A用のコンピューターを使用している。
 レーシングカーであれば、これらの苦労は必要なかったんだけれど、ハーフウェイが目指したのはあくまでもお客さんに、安心して渡せるストリート仕様だからね。そんな意味では、トラブルの起きにくいNAエンジンの選択も、正しい選択だったと考えているそうだ。
 完成したマシンのポテンシャルは、計算していた以上のもので、1トンを軽く切れる車重と、エンジンの発展性から、筑波サーキットでのNA最速も夢ではないと、手応えをつかんでいるという。そのためのトライとして、新たにアタックカーとしてこのマシンの製作に至ったというわけだ。
ENGINE
DC5などに搭載されるK20Aエンジンを搭載。そのままでも、じゅうぶんパワフルに仕上がるが、この車両は開発目的のデモカーということもあり、腰下にK24のパーツなどを使って排気量をアップしている。車重が軽いため、S2000などと比較しても優位に立てるポテンシャルだ。最終的には、筑波サーキットに持ち込み、NA最速の座を狙おうという意気込み。
OIL COOLER
水温を利用して油温を安定させるという意味では、大型の空冷オイルクーラーよりも中型の水冷オイルクーラーのほうが優れた性能を発揮するそうだ。ただし、冷却水までの配管などレイアウトが複雑になるのが難点。
EXHAUST SYSTEM
この車両に装着されているエキマニ&マフラーは、サーキット用のワンオフ。長く等長に製作されたもの。触媒の装着などを前提にしていないため、ストリート仕様には装着不可となる。市販バージョンは、林さんと一緒に写真に収められているもので、MR-Sの純正触媒&マフラーを装着し、排ガス試験を通している。お客さんに納車する車両は、完全合法であることが前提だ。
CONTROL UNIT
メーターやエアコンなどあらゆる部分にメインコンピューターからの制御が入るため、エンジン制御部分だけをDC5用、その他の部分をMR-S用のコンピューターで制御している。MR-SのCAN通信のために、エンジンからの入力信号などが必要で、K20Aエンジンにはトヨタ用のクランク角センサーなども追加されている。ハーフウェイでは、このMR-Sの製作で現代のクルマの複雑な制御を多く学んだということだ。ちなみに、手前の黒いコンピューターは戸田レーシングのDC5用。通常の載せ換えならば、DC5の純正ユニットで対処できるそうだ。
SUSPENSION
すごく悩んだ、というのがブレーキの強化。というのも、車重が軽いためバネ下重量をあまり増やしたくなかったからだ。というわけで、限界を感じるまではノーマルブレーキの軽快さを選択する方向だ。車高調はハーフウェイの完全オリジナル品。ショック長からバルブのシムまで内製で組み直せるので、どんな車種でも対応可能。
WEIGHT BALANCE
ウエイトバランスを改善するため、あえてバッテリーは小型化せず、フロントに移設。15kg以上のものを、リヤからフロントに移設することでバランスは30kg以上改善される。ミッドシップのため、フロントリフトの防止も走行性能の向上には欠かせないんだ。パワステの油圧システムもオーバーハング内に移設している。どちらも、手軽ながら効果の大きいチューニングとのこと。
WIDE BODY
販売のことはまるで考えないで作った‥‥というボディキットも好評。ただし、見た目を自然に仕上げるため、すべてのパーツが単品での装着不可となっている。フロントバンパー/フロントフェンダー/ボンネット/サイドステップ/リヤフェンダー/リヤバンパー/ボンネットフード、全10点セットで52万5000円也。片側45mmずつワイド化するよ。
気持ちよくてトラブルフリー製作台数も10台を超えましたよ!!
「私たちがMR-Sをデモカーにして感じた魅力と不満は、多くのMR-Sユーザーの方の感じていたことと同じだったようですね。これに変わるクルマはないけれど、速さにはちょっと‥‥、あれこれ試した後に、最終的にホンダのエンジンにたどり着きました。決して廉価なチューニングではないにもかかわらず、多くの反響をいただき10台以上製作しました。思い入れの多いお客様のクルマをお預かりしているので、責任を持って、質の高いコンプリーカーとして、1台1台ていねいに仕上げて納車させていただきますよ」

ハーフウェイ代表 林さん
取材協力:ハーフウェイ  078-998-2223  http://www.halfway.co.jp/ ○ このページの先頭へ