新型になったスカイラインクーペの質感の向上はすごい。エクステリアは、ボンネットとフロントフェンダーやトランクフードとリヤフェンダーなどの“チリ”を極限まで詰め、インテリアも本木目やリアルアルミを使ったコーディネート、また触れる部分にソフトパッドを多用するなど、セダンよりもさらに上質テイストだ。とある開発スタッフいわく、「ライバルは、欧州のプレミアムブランドですから」というのにも素直に納得できるし、女性をデートに誘うならこれほどよくできたクルマはない。
スカイラインクーペのポジションは、スポーツクーペではなくあくまでもラグジュアリークーペ。だから、ハンドリングに荒々しさはなく、あくまでスマートな味付けだ。たしかに、そんなV36クーペの乗り味は、R32スカイラインの当時世界最高峰といわれたハンドリングとキビキビした運動性能を体感した世代にとっては「これがスカイライン?」という違和感があるかもしれない。峠でドリフトをキメるのが似合うか? と聞かれれば、答えは「NO」だ。 |
だけど、上質な雰囲気と優雅な乗り味は、峠を卒業した走り屋世代にはちょうどいいと思う。ボクのように、「かつてはシルビアに乗っていたけど、今じゃあバリバリ走りに行くことはない」というFRファンにだって、自信を持ってオススメできる。普段は、自慢のBOSEのオーディオシステムでノラジョーンズでも聞きながら優雅に、オシャレに乗っていればいい。だって、その気になれば峠を本気で攻められるし、踏めばとんでもなく速いんだから。
今どきのスカイラインクーペは、汗をかきながらワインディングを走るクルマじゃない。だけど、その気になればしっかりとスポーツ走行できるあたりはやっぱりスカイラインクーペ。ボクは、じゅうぶんアリだと思う。ボディが大きいことも、この際大目に見よう。 |