TOP > web マガジン > 特集 バックナンバー > ボディ剛性アップGUIDE |
ボディ剛性ってやつは、ひたすら剛性をアップすればいいってものではない。ここでは代表的な目的&車種別に悩みを解決してみよう。ピンポイントで一致すればバンバンザイ。そうでなくても、きっとちかいところで手がかりがあるハズ。キミの仕様にピッタリのバランス点を見つけだせ! |
S13やS14のばあい、タワーバーやフロアバーはボディ補強のファーストステップアイテム。しかしS15のスペックRなら、おなじシルビアでも別物と考えたほうがいい。というのもリヤトランクバーやフロントのフロアバーが純正装備されていて、S13のチューンドボディ並の剛性が確保されているからだ。したがってスポーツラジアルを履くストリート仕様なら、前後タワーバーくらいでボディに手を加える必要がないっていうのがサンラインオートからの回答。 しかし走るステージを街中だけでなく、たまに行く走行会くらいまで広げるとなれば、手を入れたい箇所はある。思ったようにラインがトレースできず、ラップタイムもバラツキがあるというときは、フロントタイヤのグリップ力がボディのたわみで逃げてじゅうぶんに発揮されてない可能性がある。 そこでフロントを重点的に剛性アップしてやる。たとえばテンションブラケットブレースとガッチリサポートをプラスしてやればフロントのヨレが少なくなり、ステアリングレスポンスがよくなるのと同時に、コーナリング時のフロントタイヤのグリップも安定する。 次にボディコンディションを維持してほどよい剛性が確保できるお手軽なボルトオンサイドバーキットがおススメ。部分的に補強されたフロントとリヤによってストレスが集中するBピラー付近を補強することで、サスペンションがさらによく動くようになるハズだ。 サンラインオートでは、ストリート仕様にもサイドシルへの発泡ウレタンがおススメだとか。防音材の役目も果たしタイヤノイズも減ってくれるからだ。 |
||
テンションロッドのブラケットとサイドフレームを連結するコの字型のテンションブラケットブレース。レスポンスよくノーズが入るようになり、コーナリング中のフロントグリップも安定する。 |
||||
年に数回の走行会レベルならロールケージまでは必要ない。既存のシート&シートベルト穴を利用するボルトオンサイドバーキットでも、サスペンションの動きがよくなったとかんじるだろう。 |
||||||
取材協力:サンラインオート 岡山県岡山市古新田1198-1 086-209-0555 http://www.sunline-auto.com | ||||
サンラインオートのS15タイムアタック仕様は2.2L+T78の500psオーバー仕様で、岡山国際サーキットで1分35秒8を叩き出すポテンシャルを秘めている。そのボディはとうぜんのことながらロールケージ+フルスポット増し、メンバー内への発泡ウレタン‥‥とあますことなく補強されている。たとえそこまでいかなくても400psオーバー+Sタイヤなんて仕様には、このマシンを参考にしたリヤまわりのボディ補強を施してやりたい。 当初、デモカーにセットされていたロールケージはワンオフの16点式。しかし、Sタイヤをもってしても「トラクションが抜けてしまうほどボディが勝ってしまったため、過剰な補強は無意味です」と、サンラインオートの佐藤サン。いまでは10点式もしくは12点式がおススメとのことだけど‥‥ポイントになってくるのはリヤ側のセット位置。通常、リヤバーはタイヤハウス周辺にセットされる。が、このリヤバーをストラットタワー部まで延長してやることで、リヤサスペンションの性能をじゅうぶんに引き出しトラクションがかかるようになる。さらにリヤメンバーのムダな動きを抑制するために、リヤメンバー変換アダプターによってリジッドマウント化。するとメンバー自体がリヤの剛性アップにもひと役買い、サスペンションの動きがよりダイレクトになってくる。 つまり、リヤまわりの補強によってリヤサスペンションの性能を最大限に引き出し、トラクションを高めてやる。それがSタイヤのグリップ力を100%引き出す方法であり、タイムアップの秘訣でもあるというワケだ。 |
||
デモカーにセットされているワンオフロールケージは、各ピラーに溶接留めしてボディと一体化させている。タイムアタック専用マシンでもないかぎりここまでする必要はないが…既製品のロールケージを使ったばあい、リヤのバーはタイヤハウス周辺にセットされていることが多い。これでは肝心なタワー部周辺がグラついてしまうため、バーを延長させてしっかりと固定してやりたい。 |
||||||
メンバーのブッシュを取り除いてリジッド化してしまうリヤメンバー変換アダプター。デフの作動音やロードノイズがモロに伝わってくるので、装着するにはそれなりの覚悟が必要。 |
サーキット仕様でタイムアタック重視ならスポット増しも定番テクニック。まずはドア開口部、エンジンを降ろす機会があるならフロントのタワーまわりも加えていきたい。 |
|||||
ロールケージで過剰な補強をしても、タイヤが先にグリップを失ってしまう。そのためデモカーは装備していた16点式を変更中。この取り外したパイプで約32kgのシェイプアップとか。 |
「フロントからはじめてコーナリングをよくして、最終的にはリヤでトラクションを上げていくんです」と、ただいま筑波アタック仕様を製作中。 サンラインオート 佐藤サン |
|||||
取材協力:サンラインオート 岡山県岡山市古新田1198-1 086-209-0555 http://www.sunline-auto.com | ||||
EG6は中古車価格もかなり安くなり、ビギナーにとっては絶好のベース車両。まずはスポーツラジアルに車高調(バネレート前後12〜14kg/mm)を組んだ仕様あたりで走り屋デビューする際、最初に手を加えたいのがリヤのスタビライザー。FFはコーナー侵入時にブレーキングでしっかりと前荷重をかけるのが基本。しかしコーナリングの横Gでリヤのイン側が浮くくらいロールし、フロントのアウト側に荷重が集中することで、フロントのイン側荷重も抜けがち。LSDなしの仕様だとスロットルを戻すしかなく、大アンダーとなってしまう。そこでリヤスタビライザーでリヤのロールを抑えてやると、結果的にフロント両輪にしっかりとトラクションがかかり、コントロールしやすくなる。これにバルクヘッド付近の剛性を高めるガッチリサポートをプラスしてやれば、ハンドリングもシャープになってグッド、というのがインパクト流の攻略論だ。 ボディ剛性を手軽にアップできる前後のタワーバーやフロアバーは闇雲に装着しないほうがいいケースもある。グリップ力の劣るスポーツラジアルなら若干のヨレを利用した方がスムーズに曲がれるし、足まわりに見合わない補強は、かえってボディがハネて乗りにくくなってしまうからだ。まずは装着しない状態で走り込んでみること。そして走り方や好みに応じて必要であれば順次プラスしていけばいいだろう。 ドライビングテクニックの向上にともなってとうぜん、足まわりの仕様は変わってくる。ボディを本格的に補強するのはそれからだ。 |
||
リヤのロールを抑えることでフロントイン側の荷重抜けを防ぎ、フェンダー内のがっちりサポートでボディのたわみを減らす。これがLSDなしのFF車を曲げていくための第一歩だ。 |
||
LSDなしのストリート仕様にロールケージを組むとき、形状は各ピラーに沿った6点式か斜行バー入りの7点式まででじゅうぶん。サイドバー付きはボディ剛性が高まりすぎて扱いにくくなってしまうそうだ。 |
EG6のボディはアッパーアームの下にフレームの合わせ面があり、そこのシールとスポットが剥がれてくる。ハードに扱われていたクルマは補強する前にボディの各部をチェックすること。 |
|||||
「ボディのヨレを生かすことも大事なんですよ。ねじれ方向のまえにたわみ方向から対策してください」。 インパクト 財田チーフメカ |
||||||
取材協力:インパクト 大阪府大東市中垣内7-9-3 072-874-0595 http://www.sunline-auto.com | ||||
EK4をベースにして本気でタイムをねらうとなればSタイヤにバネレートの高い車高調(F18〜20kg/mm、R14〜1kg/mm)の出番。LSDも装着するとなれば、それに見合ったボディ剛性が要求されてくる。 まずロールバーは最低でもダイヤゴナルバーにサイドバーが加わった9点式をセレクトすること。そしてサイドバーはドア部だけでなくリヤのバーまで延長させて11点式にするのがベスト。サイドバーで前後をしっかりと連結してやれば、ブレーキングの際にリヤが前に押し出されて前荷重が作りやすくなるのだ。リヤがインリフトし、フロントのイン側荷重が抜け気味でも踏んでいくことでLSDを効かせながら曲がる力を出していけばいい。そのためにはブレーキの前後バランス、フロントを下げすぎない車高、キャンバーセッティングといったトータルチューンも要求されてくる。もちろん、操るためのドラテクも。 フロントのタワーバー、ガッチリサポート、リヤのスタビライザーは必須アイテム。ただしSタイヤであっても、部分的に過剰な補強をするはヘンな突っ張り感を生み出してしまうので要注意。4輪をしっかりと接地させるにはボディのヨレも多少は必要なのだ。そのため、EK4に純正で装備されているロワアーム部およびリヤバンパー内の補強バーはあえて取り外している。これはN1仕様にも見られるセッティングテクニックだ。 さらに突き詰めるならスポット増しも施してやるといい。突っ張り感が残る補強バーとは異なり、ボディ全体でしなり具合を引き締めてくれる。つまり、ショックに例えるなら減衰力を高めるようなかんじ。クルマの動きを完璧にコントロールできる上級ドライバーなら、その効果をはっきりと体感できるハズだ。 |
||
ボディ全体を剛性アップさせる9点式以上のロールケージで、リヤの剛性感はもはやじゅうぶん。純正ロアアームバーはかえって突っ張り感を出してしまうので、外したほうがコントローラブルになる。 |
||
タワーバーはSタイヤを履いてこそ効果が得られるパーツ。形状はアッパーマウント部を連結する定番タイプでOK。バルクヘッドと連結する3点式は突っ張り感が出てしまうという。 |
サイドバーの役目はフロントとリヤをしっかりと結合させること。コーナリング時にボディのたわみが減ってフロント外荷重が増えすぎる(内荷重が減る)が、LSDを効かせながら踏んでいけばいい。 |
|||||
タワーバーなどの手軽なボルトオンパーツは装着すればいいってもんじゃない。横方向のヨレは4輪を接地させるために役立っている。Sタイヤであってもリヤタワーバーなしがおススメとか。 |
ロールケージの効果をアップさせるための手段としてピラー溶接留めがあるが、特性がピーキーになるため、かならずしも絶対ではない。まずはこの状態で走り、後にステップアップさせていけばいい。 |
|||||
取材協力:インパクト 大阪府大東市中垣内7-9-3 072-874-0595 http://www.impact-magic.com/ |
ランエボのACD+AYCを有効活用するために、もっとも重要なのは4輪を接地させること。ランエボは基本的にフロントタイヤを進行方向に向け、駆動力で曲げていくというドライビングスタイルだ。しかしリヤがインリフトしてしまうと、フロントの駆動力が抜けてアンダーステアになり、その後インリフトが回復(接地)すると、とつぜんフロントに駆動力がかかり急激に巻き込む。このリバースステアがランエボの天敵で、怖い思いをしたオーナーも多いハズ。 「いくらサスペンションで踏ん張らせても、フロントのフレーム自体がヨレて、リヤがインリフトしてしまう。つまりインリフトを減らすには、フロントのねじれ剛性をアップさせるのが効くんですよ」とはマルシェの桑原サン。 そこであなどれないのがストラットタワーバー。ノーマルを外しただけでもまともに走れないほどで、メーカーもフレームの一部と考えて設計しているのではないかというくらい。コイツを逆手にとってノーマルを補強するだけでも効果が高いし、交換する際も3点支持式に限ることと、手にとってみてしっかりしたのを選んでほしいとのこと。 次にやりたいのがバルクヘッドまわりの剛性アップ。競技車ともなるとフロントフェンダー内レインフォースが割れてくるくらいで、そんなノウハウから生まれた筋金くんの装着となる。 「その次にロアアームバーもいいですよね。ランエボのばあいリヤはノーマルのまま、フロントに的を絞って剛性アップをしてください。ボルトオン系のパーツでじゅうぶんですし、やり過ぎになることはありませんから」。それくらいフロントの剛性アップが重要なんだそうだ。 |
||
お手軽補強として、純正タワーバーのバルクヘッド取り付け部ステーを箱型にする。これだけでもフロントのねじれ剛性がアップする。 |
||||
Aピラー付け根にある、フェンダー内レインフォースの合わせ部。ストレスが集中し、L字型のプレスラインに沿って割れるという。この部分を補強するのが筋金くんってワケだ。 |
2本で三角形を形成するスーパー筋金くん(筋金くんは1本構造)。競技車なら鉄板溶接できても、ストリート仕様に溶接はしたくない。そこで生まれたボルトオンパーツってワケ。 |
|||||
ランエボのばあい、片側だけアッパーマウントのナットを外してみる。ボディが弱っていると、タワーバーのプレートがボディから浮いてしまうそうだ。1cmも浮くようだと危険信号だとか。 |
「チタンでも3点支持で剛性の高いもの」と手にしているのはノーマル改とクスコのチタントライアングルだ。 マルシェ 渡辺メカ |
|||||
取材協力:カーステーション マルシェ 群馬県前橋市亀里町1224 027-265-6789 http://cs-marche.com/ | ||||
GCやGDにかぎらず、インプレッサ乗りの悩みとして多いのが、曲がる曲がらない以前に「まっすぐ走らない」こと。これはボディ剛性の弱さとアライメントが原因だ。 まずボディは、ねじれに弱いのとバルクヘッド付近がたわむのが原因で、本来タイヤが向くべき方向とはズレが生じ、あらぬ方向へ走ってしまうという症状。対策としては、ランエボとおなじようにフロントセクションの剛性アップが中心。ストラットタワーバー、筋金くん、ロワアームバーなどボルトオン系のパーツでじゅうぶんな効果が得られるハズだ。 そうしてボディ剛性がしっかりすればまっすぐ走るかといえば、答えはノー。「こんどはノーマルアライメントの悪いところが助長されてしまうんですよ」とマルシェの桑原サン。 もともとタイヤからのキックバックが大きく、ステアリングを取られがちなうえ、タイヤは極端な外減りというアライメント。そこでマルシェではストラットを内傾させて、対地キャンバーの矯正とキングピン角度を増すようにセット。するとキングピン中心が外へいき、タイヤの中心とのスクラブ半径が小さくなることによってステアリングへのキックバックが少なくなるというぐあい。ステアリングインフォメーションが少なくなりすぎて不満なら、今度はキャスター角を増やしてやる。じつはGDのE型以降ではノーマルでもキャスター角が増えてるんだって。 「競技車では最終的にA‐Bピラー間が歪んでくるんです。この歪みを減らすにはサイドバーつきのロールケージか、サイドシル発泡ウレタンになりますね」と桑原サン。ストリート仕様でどこまでやるかは、走りかたと相談だね。 |
||
サイドシルとの三角形を組むことで剛性を高めるので、サイドバーとメインアーチの接合部の高さを重視。高すぎると乗降しづらいし…というところで妥協点を見つけよう。 |
||
GD系ではフェンダー内にノーマルでもレインフォースが追加されているくらい。ノーマルも生かしつつ、さらにバルクヘッド付近の剛性アップを図りたい。 |
フロントの剛性を上げていくと、こんどはA−Bピラー間にストレスがたまって歪んでくる。GC系オーナーは、そろそろチェックしたほうがいいみたい。 |
|||||
サイドシルに発泡ウレタンを注入し、サイドシルの剛性を上げるのもひとつの手。ロールケージは入れたくないというオーナーはぜひ。 |
「足を正確に動かすためにフロントの剛性アップ。そのボディ剛性に見合ったアライメント。最後にサイドの補強とステップアップしてください」。 マルシェ 桑原さん |
|||||
取材協力:カーステーション マルシェ 群馬県前橋市亀里町1224 027-265-6789 http://cs-marche.com/ | ||||
BNR32ともなれば初期型からすでに17年めに突入し、10万kmどころか20万kmを超える車体もザラに存在する。ドアの閉まりも悪いような、コーナリングの踏ん張りも効かないような、ブレーキでもふらつくような…。新車のときってこんなんだったっけ?と思うハズ。 「ヤレてきたボディを新車なみかそれ以上の剛性にしてやろうというのがリフレッシュバーやね」とはHKS関西の向井サン。ストラットタワーバーからはじまって補強パーツはたくさんあるけれど、面で補強するより箱で補強するほうが効果は高い。すると、最後にたどり着くのはキャビンスペースとなる。 「競技用のロールケージは乗員保護重視、ストリート用のリフレッシュバーは使い勝手重視。フロントバーをつけずにサイドバーをつける」というのがポイントだ。このサイドバーやリヤの斜行バーは取り外しが可能で、Cピラーに沿わせたリヤバーの効果もあり、キャビンスペースを最大限に確保できるのが特徴。それでいてセンターバーはBピラー留めとすることで、最大限の剛性アップもねらっている。 それでも室内へバーを装着するのに抵抗をかんじるオーナーもいるだろう。「それならシャシーまわりがメインになるよね。気をつけてほしいのは最低地上高。補強パーツを当ててしまってフレームを曲げてしまっては本末転倒だからね」と、フレームより低くなりすぎないパーツを選ぶのも重要だそうだ。 |
||
ドア開口部の剛性アップにサイドバーの効果は絶大。このサイドバーとリヤ斜行バーは、取り付けステーごと外れるようになっている。この2本を外せば、ごくフツーに4名乗車ができる。 |
||||
BNR34といえど10万kmを超えるクルマも出始めている。完売したチタンロアブレスバーセットだが、ステンレス製かスチール製で復活予定だとか。 |
||||||
フロントブレスバーは、左右フレームとフロントサスペンションメンバーを接続。左右方向のねじれと、メンバーのズレを防止している。 |
リヤブレスバーはリヤサスペンションメンバーとプロペラシャフトブラケットを接続。センターブレスバーはセンタートンネルのたわみを減らす。 |
|||||
「手で動くようじゃ剛性アップするワケがない。そういう選びかたも参考にしてや」と、インプレッサのノーマルサブフレームで説明してくれた。 HKS関西サービス 公爵向井 |
||||||
取材協力:HKS関西サービス 奈良県奈良市小倉町1080 0743-84-0126 | ||||
RX‐7にかぎったことではないんだけど、ボディ剛性に関してはハッチバック車はノッチバック車よりも不利。理由はハッチバックが開閉する仕組みであるためにボディの開口面積が大きく、コーナリングGで“ボディのよじれ”が起こりやすいからだ。 サーキット走行にハマッて月イチくらいのペースで走行会に行っているようなひとだとわりと意識しやすいはず。Sタイヤ等のハイグリップタイヤを履いてコーナーをガンガンに攻め続けると、とうぜんボディにかかる負担はメーカーの想定範囲を越えてしまう。そうなるとサスペンションが動くタイミングでボディまでいっしょにゆがみ、足まわりのダイレクトな動きがわかりづらくなっちゃう。 また、半年くらいしたころから「ドアやハッチの開け閉めをするときにキシミ音が出るようになってきた」なんてパターンで体感するケースもあるだろう。 そこでボディ剛性の低いリヤ開口部を、効果的に剛性アップしようと考えて製作されたパーツが、ボディの最後部までロールバーをはわせる“トランクスルーロールケージ”。ハッチバックの周囲を完全にバーで囲うため開口部の剛性は飛躍的に向上し、ノッチバック車以上の高剛性ボディを手に入れることができる。 結果、強烈なコーナリングGでもボディが歪みにくくなり、4輪のサスペンションのインフォメーションが伝わりやすくなるってわけ。取り付けはボディとロールバーの留め具を溶接しなきゃいけなかったりしてものすごく大変だけど、大変な半面、効果は期待できるゾ。 |
||
ボディ後端まで“ハコ”としてロールケージで補強されるため、ハッチ開口部の歪みが出にくくなるうえ、ボディ全体の剛性をイッキにアップさせることができる。価格は要問い合わせ。 |
||||
「逃げ」をなくすために、ロールケージとボディとつなぐ部分は、フロアに直接ボルト留めするのではなく、キッチリとボディ側にあて板を溶接して取り付ける方法が採用されている。 |
ボディに対して力がかかる部分といえば、サスペンションの付け根部分であるストラットタワー。この部分にもロールケージが取り付けられ、サスペンションにムダな動きをあたえない構造になっている。この補強がガッチリ感につながるのだ。 |
|||||
運転席まわりにくるメインバーは、ダッシュボードを逃げるタイプとダッシュボード貫通タイプが選べる。シートの脇にサイドバーを取り付けると、ドアまわりの剛性アップに効果絶大とのこと。 |
「トランクスルーのロールケージは、正直なところ金額や取り付け工賃がかなりかかるんだけど、おカネをかけたなりの効果はあるよ」。 Rマジック 大原サン |
|||||
取材協力:Rマジック 神奈川県相模原市田名3530-1 042-764-7077 | ||||
ホイールベースが長い4ドアセダンは快適な車内空間を持つかわりに、2ドアクーペにくらべるとボディ剛性がどうしても不足がち。とくに感じられるのはボディ全体の一体感のなさで、JZX100から採用されている乗員を守るための衝撃吸収ボディGOAは、その状態をさらに悪化させる傾向にある。 「ドリフト中は、フロントとキャビンとリヤがバラバラに動く」と話すクニーズの高橋サンも、JZX90から乗り換えたときはこの挙動にとまどい、まともにドリフトすることができずに頭をかかえたという。3速進入でステアリングを切っても行きたい方向へ進まず、アンダーステアの雨あられ。極端なフロントの剛性不足はこういった症状につながり、JZX100ならではの弱点として露呈したわけだ。 走りをよくするためには、フロントまわりとキャビンとの一体感を出すことが、まずなにより重要になってくる。そこでいちばん効果的なのが下まわりの補強。GOAボディ特有のつぶれやすいフレームに、直接バーを組むことで剛性アップを図るという考えだ。 「フロントからリヤまで一直線のパイプでつなぐフロアサポートバーと足まわりの剛性を上げるロワアームバーを装着するだけで、ボディの一体感も出るし、ノーマルのイヤ〜な動きはかなり解消できるよ」と高橋サン。あとはドライバーのウデに合わせて少しずつ補強していくのが理想とのこと。 速く走るためというよりは、的を絞ったボディ補強でノーマルの弱点を克服しつつ、コントロールしやすいクルマに仕上げるというのがJZX100でドリフトを楽しむための秘訣というわけだ。 |
||
左右のアーム取りつけ部をつなぐことで、ボディのねじれを防ぎサスペンションの性能をフルに引き出す。三角形のすきまを埋めるようにバーを追加したオクヤマ製ドゥーラック改ロワアームバー。 |
||||
ボディの弱さを補うためにもまず装着しておきたいという、ドゥーラックのフロアサポートバー。車体前後の動きを同調させる効果がある。 |
ドリフト中の細かい振りで発生する横方向のヨレを減らすクニーズのリヤクロスバー。ターンバックルでテンションをめいっぱいかければ効果倍増。 |
|||||
|
|
|||||||||||||||
取材協力: | クニーズ 神奈川県横浜市西区宮ヶ谷44 045-317-6967 http://www.kunnyz.net/ ドゥーラック 神奈川県横浜市都筑区大熊町73 045-471-0500 http://www.do-luck.com/ |
||||
オープンのロードスターのばあい、他のクルマにくらべてボディ剛性が劣るのはあきらか。したがってSタイヤを履いて本気でタイムをねらうとなればロールケージにスポット増し…と補強ポイントをあげていけばきりがない。そこでスーパープライベートにレクチャーしてもらったのは、NA6CEの吸排気系チューン+スポーツラジアル仕様に見合ったボディ補強だ。 NA6CEとなればもう10 年選手。タイヤのグリップ力が低い時代に生産されたクルマで前期ともなればボトムまわりの補強もいっさいされていない。フツーに街中を走っていても段差などを乗り越えたときにはきしみ音があちこちから…。 まずはタワーバー&リヤフレームジョイントバーというオーソドックスな手法で、正常なボディを確保すること。そしてリヤメンバーサポートバーとフロントのロワアームバーをプラスしてやれば、街中で快適になるだけでなく、ちょっとしたスポーツ走行にもじゅうぶん対応できるようになる。 「低年式のNA6CEはボディがヘタっていることはたしか。しかし吸排気系チューンにスポーツラジアルで、たまにサーキットを走る程度なら、ボルトオン補強でじゅうぶん楽しくなりますよ」と言うのはマイカーとして開発車両のNA6CEに乗る斎藤メカ。 NA6CEは、マイナーチェンジでマツダがパフォーマンスロッドを加えたことからもわかるように、リヤのボトム補強は効果大。駆動輪のまわりがボックス化され、コーナリングスピードが高まってくる。このボディに合わせて足まわりをセッティングしてやれば、快適なオープンFRスポーツに生まれ変わるはずだ。 |
||
平成4年のマイナーチェンジでリヤメンバーにパフォーマンスロッドが加えられている。しかし見るからに貧弱なので、スチール製オーバルタイプに変更して剛性アップを図る。 |
||||
|
|
|||||||||||||
取材協力:スーパープライベート 兵庫県加古川市加古川町木村246-4 0794-21-0036 http://www5.ocn.ne.jp/ ̄spr/ | ||||
このZ32はレヴォルフェ溝田サンみずからの湾岸最高速専用機で、文字どおりのフルチューン仕様。ボディの剛性アップ対策にも余念がない。 「Z32にかぎらず、最高速はどれだけクルマを信じて踏めるかがポイントなんです。その意味もあってボクのクルマはボディ剛性を徹底的に上げていますよ。ポイントはフロアなんですけど、高速域で車体を安定させるためには、どちらかと言うとネジレ剛性ではなく、前後方向の剛性アップが効果的ですね」。 超高速域での安定性が要求されるストリート最高速ステージにおいて、重要となるのはタテのチカラに対する剛性などだという。そんなことから溝田サンがおススメするのは、ドゥーラックなどからリリースされている、フロアの前後にバーをとおして強化する補強パーツの導入。ポン付けするだけでも安定感は倍増するんだとか。さらに効果を高めたいなら、ボルト留めではなく溶接留めにするのがベストのようだ。 ただしZ32限定で話をすると、フロアまわりにスペースがないという理由から、フロア補強パーツの類いはどこからも販売されていないんだ。そのためこのZ32の場合は、室内側にスクエア状のシャフトを溶接している。 そのほかではフロントストラットまわりの剛性アップも効果的だという。太めのタワーバーにプラスしてスポット溶接増しを施すことで、フロントタイヤのインフォメーションをつかみやすくなり、結果として超高速コーナーでも臆することなく踏んでいけるようになるそうだ。 |
||
Z32の場合、フロア下にスペースがないため、室内側に長いシャフトをとおして補強している。「ドゥーラックさんのフロアサポートバーでも効果はおなじですよ」とは溝田サン。 |
||||
ジュラルミン&クロモリを使ったオリジナルのロールケージも導入されている。これはねじれ剛性のアップにも貢献するんだけど、それよりも乗員保護が主目的とのことだ。 |
ストラットアッパーまわりのスポット溶接増しは、高速域でのハンドリングを向上させるために有効な手段。ちなみにタワーバーは「できるかぎり太くてぶ厚いタイプを選ぶベシ」とのこと。 |
|||||
足をかためてギンギンに走っていると、ちょうどストラットタワーの下側あたりの部分が割れてしまうことが多い。そのため5mm厚の鉄板を溶接して補強しているのだ。これはGT-Rなんかでもよく起こるそうだゾ。 |
メンバー&アーム類の強化はサスを積極的に動かすために重要。ところがZ32用はどこからもリリースされていないため、溝田サンは鉄板を使って溶接補強している。 |
|||||
取材協力:レヴォルフェS.A. 神奈川県横浜市都築区池辺町3960 045-92-6087 http://www.revolfe.com/ | ||||
重量級セダンをシャキシャキのコーナリングマシンに仕立てるために重要なのは、ずばり前後サスメンバーの剛性アップだ。走ることを前提に生まれてくる2ドアスポーツとはちがい、快適性追求路線で誕生しがちな重量級セダンは、たいていこの部分の強度が不足しているケースが多いんだ。 なので、せっかく高価なサスペンションキットを導入したとしても、コーナリングフォース&メンバーの強度不足によってムダな動きが発生する→不用意なアライメント変化が起こる→ダイレクト感が生まれない、といった悪循環にハマって、効果を100%発揮できないわけ。 その対策として有効なのが、前後サスメンバー自体の強度をあげるメンバーブレース系パーツを装着すること。サスメンバーとボディをブレースによって連結し、メンバーのたわみをボディとともにかためることができるため、不用意なアライメント変化は減ってサスペンションの動きはよくなる。しかも、メインフレーム自体の剛性アップにも大きく貢献する。 このJZS161にはトムス製のメンバー強化ブレースが前後に装着されており、溝田サンいわく「サスのセッティングが変わってしまうほど効果絶大!」なんだとか。 また、JZS161の場合はサスメンバー以上にアーム自体の剛性が低いため、メンバーの強化と同時に、TRDやトムスから販売されているアーム強化パーツの導入がおススメとのことだ。 |
||
重量級セダンにおける剛性アップチューンのキモは、ひ弱な前後サスまわりを効果的に強化すること。メンバー強化系パーツの導入だけで走りは激変するゾ。 |
||||
トムスのメンバー強化ブレースは、メンバー自体の強化とともに、サスアーム取り付け部分の局部剛性を上げることができるスグレモノなのだ。 |
タテ方向の曲げ剛性をアップさせるフロアサポートバー。とくに4ドア車には効果的で、サスペンションの動きは見ちがえるほどよくなる。剛性アップ体感度120%のパーツだ。 |
|||||
ドゥーラックから販売されているリヤクロスバーは、前後のタワーバーのあいだで左右のフロアを連結するパーツだ。フロアサポートバーとの組み合わせが効果的みたいだぞ。 |
「ボディ剛性アップは重量増以外にマイナス要素がないので、やったもの勝ち!」と語る溝田サン。かなりの剛性マニアだったりするのだ。 レヴォルフェS.A. 溝田サン |
|||||
取材協力:レヴォルフェS.A. 神奈川県横浜市都筑区池辺町3960 045-929-6087 http://www.revolfe.com/ | ||||