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RE雨宮 GReddy D1 セブン FD3Sロータリーチューンの名門ショップはたった1年でD1必勝メイクを修得!RE 雨宮 GReddy D1 セブン[FD3S]
ロータリーチューナーの名門、RE雨宮がD1グランプリに参戦をはじめて1年。昨年は低迷した時期もあった。しかし、シーズンを通してマシンの方向性を見きわめ、そのデータをもとに今季第3戦に2号機を投入。タイムアタック仕様とはちがうアプローチを決断した2号機は、スピード、角度、迫力、コントロール性と、すべての面で高次元の性能を発揮するD1随一のハイパフォーマンスマシンとなった。
角度に弱かった1号機
菅生での第3戦をまえに、エビスサーキットで2号機がシェイクダウンした。末永は、そのときの印象を「リクエストした通りになっていた。いきなりよかった」と振り返る。1号機と大きくちがうところは、燃料タンクの搭載位置を変更したこと。そしてエンジンのサイドポートを拡大加工したことくらいのものだ。それでも2号機はリヤが軽くなったことでテールを振りまわしやすく、それでいて唐突なスピンを起こしにくくなった。パワーが上がったことで、タイヤが食ってしまって煙が出にくいということもなくなった。第3戦菅生、末永は2号機を投入したこのラウンドが「いままででイチバン乗れていた」という。そもそもRE雨宮がD1グランプリに参戦しはじめたのは、昨年の4月のエキシビション戦から。それまでグリップ仕様の製作経験は豊富だったが、ドリフト仕様のノウハウはなかった。そこでD1マシンの1号機もタイムアタック仕様のクルマづくりをベースに、ロールケージはタイムアタック号とほぼおなじものをワンオフで製作。タービンも車高調もタイムアタック号と同一。足まわりはフルピロで、各種剛性アップパーツも装着され、スタビは強化品に交換されていた。「ドリフトをするにはむずかしいクルマだったと思う。ものすごくよく曲がっちゃう。だから横向けるのに苦戦していた」というのが末永のそのときの印象だ。まずケツが出しにくい。それでもケツを振り出すと、角度が浅いうちはトラクションもよくかかり速いドリフトをするにはよかった。しかし、あるていど角度をつけるとリヤがスッポ抜けてしまう。ドライバーの操作では、どうにもスライドを止めることができなかった。第2戦こそ、たまたま足まわりやエア圧や車高のバランスがうまくいって、8位に入賞したものの、そこからはドツボにはまってしまった。なにしろ末永にとってはFD3Sの走らせかたやセッティングの方向性が、メカニックにとってはドリフト仕様に要求される特性がわからなかった。とくにリヤが流れたら止まらないという症状に苦しみ、第3戦から第6戦はノーポイント。改善の兆しが見られたのは、第6戦のエビスあたりからだ。メカニックがしだいに末永がやりたいことを理解できるようになってきた。それまで2度半ついていたリヤのキャンバーを2度以下にまで起こした。減衰力をイジって、リヤの車高を上げ、よりストロークする方向にセッティングしてやると、スライド時のコントロール性が少しよくなってきた。その結果、最終戦は久しぶりに追走で勝利し、7位に入ることができたのだ。
末永が乗りやすい仕様とはじつはノーマルに近かった!?
今年の第1戦はアメリカだったため、あまり仕様変更はできなかったものの「バンクではリヤのスッポ抜けがあまりない」という好条件もあって6位入賞。マシン帰国後、RE雨宮はひとつの決断をした。それまで使っていたクァンタムの車高調は、全長調整式ではない。だからスプリングのセットアップの自由度が狭かった。そこで、圭オフィスプランニングの全長調整式車高調『DG‐5』に変更したのだ。
タイムアタック号とおなじイメージながらよりライトにストリートっぽく
そのテストのために、RE雨宮チームはエビスサーキットで2日間みっちり走りこんだ。車高調以外の部分に関しても、いろいろなセットアップを試した。この収穫は大きかった。車高調の減衰力はそれまでより大幅にソフトな方向になり、スタビライザーも純正に戻した。アームの取り付け部も、純正ブッシュのほうがコントロールしやすいことがわかった。マシンがどんどんノーマルに近づくにつれ、FDは末永にとって乗りやすいクルマになっていった。第2戦ではHKSに敗れたものの、またしても好調な走りで5位入賞。マシンはかなり満足できるレベルに仕上がっていた。ただ、どうしようもない部分が残っていた。重量配分だ。前後ほぼ50:50の重量バランスを持つFD3Sは、そのおかげで旋回性能が高い。しかし、スピンモードに入るとアッというまにクルンとまわってしまう。そこで末永は「リヤを軽くしてほしい」とリクエストした。その結果が燃料タンクの移動だ。この仕様変更には、FD3S本来の利点であるトラクション性能が落ちるという懸念もあった。しかし、それは現在足まわりのセッティングであえて落としているくらいなので、まだまだ向上の余地があると言う。それよりもマシンは大きな角度に耐えられるようになり、角度をつけた状態でもアクセルを踏み込んでいける特性になった。第3戦、末永は高い車速と優れたトラクションにくわえ、かつてない角度と煙を見せつけた。 当初まわりが心配していたレースメイクを得意とするRE雨宮とドリフトドライバーの見解の不一致は、現在いい方向でシンクロしていると言えよう。FD3Sのドリフト仕様の方向性は、RE雨宮チームが確実に切り開いている。
ENGINE
1号機ではノーマルだったエンジン本体は、2号機から全回転域でパワーを稼ぐためにサイドボード加工が施されている。パワーバンドは4500〜9000rpm。レスポンスを求めるなら、もう少し小さいタービンを選ぶという手があるが、末永の要望で高回転型のパワー特性になってるという。
ENGINE
ラジエターとインタークーラーはいわゆるVマウントになっている。1号機の垂直のマウントに問題があったわけでもないが、見ために変化をつけたかったという。ラジエターの上方にセットされているのはパワステオイルクーラーだ。
ENGINE
タービンはTD07-25G。エキゾーストハウジングにはやや大きめの22cm2のものを使用している。低回転のトルクよりも、高回転できっちりパワーを出す選択だ。高回転域の迫力と、上まで引っ張ってからシフトチェンジすることで、ギヤのつながりをよくすることも狙いだ。
   
FOOT WORK
サスペンションメンバーは、色が変わっているものの、補強などは入っていない。サスペンションは、1号機ではフルピロだったが、2号機では、リヤのロアアームを除いて純正ブッシュになった。そのほうが末永が扱いやすいのだという。メンバーの下にはオイルパン保護のためのプレートが取り付けられているが、ほとんどぶつけた跡はない。フロントホイールは25mmのスペーサーを挟んで装着している。
FOOT WORK
タイヤハウス内は、切れ角アップによってタイヤが当たってしまう部分のボディパネルを加工して逃げを作っている。また、アッパーアームの取り付け部はパネルが弱いので、補強を加えている。ボディ補強といえるのはそのくらいだ。切れ角アップは、サトルワークスのナックルとURASのタイロッドの組み合わせ。
FOOT WORK
リヤのサスメンバーは、ミッションのマウント部分だけちょっと補強が入っている。トラストのデフカバーはオイル容量を1リットル増やすことができて、油温の上昇が抑えられるそうだ。パワープラントフレームは、RE雨宮オリジナルの強化品だ。バネレートはひんぱんに変えるが、フロントは16kg/mmでほぼ固定、リヤを12〜20kg/mmの範囲で変えるという。フロントのローターは16インチ用のサイズだが、リヤだけ、サイドブレーキの効きをよくするために17インチ用のローターに変更されている。
   
INTERIOR
ステアリングの位置は、末永の要望でスペーサーを使って調整しているという。意外と神経質なのだ。センターコンソールの脇にはブレーキバランサーのダイヤルも見える。サイドを引いたときにリヤがロックしやすいように、リヤには食いつきのいいパッドを入れている。しかし、フットブレーキを使ったときには、リヤがあまり効き過ぎても困るので、バランサーで前寄りに調節しているのだという。フロントには食いつきよりコントロール性を重視したパッドを装着している。
INTERIOR
センターコンソールには雨宮のブースト計が入る。その横はオイルクーラーの電動ファンのスイッチ。プロフェックのモニターの横は、ラジエターの電動ファンのスイッチだ。助手席側には、メカニックがイジりやすい位置に、FコンVプロとパワーFCが取り付けられている。パワーFCは、メタリングオイルポンプとアイドリングのバルブの制御にだけ使用。助手席側の追加メーターは、水温、油温、油圧計だ。
INTERIOR
アンダーコートをはがしているので、フロアには断熱材が張られている。これがないと、シューズの底が溶けてしまうくらい熱くなることもあるのだという。アクセルペダルは、末永の要望でチームが製作したものだ。
   
EXTERIOR
フロントバンパーにはフェイシャーN1、ボンネットにはADフード9、前後フェンダー、サイドステップがセットになったAD GTキット、ディフューザー、スリークライキット、GTウイングを装着している。いずれもRE雨宮オリジナルだ。ボディは片側約2センチワイド化され、フルカウンター時にもタイヤがボディに干渉しにくくなると同時に、トレッドを広げてコーナリング性能を高めている。
   
  取材協力:RE雨宮 0476-90-0007 http://www.re-amemiya.co.jp/   ○ このページの先頭へ