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ミツビシ ランサーエボリューションIX MR GSR From JDM-OPTION [2006.10] |
エンジンは鋭く、走りはしなやかに |
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相変わらず硬い乗り心地だな‥‥と街中や高速移動で感じていた印象は、ワインディングに入ると大きく変えざるを得なかった。ワインディングを走るランエボIX MRのイメージをひとことで言えば「しなかやか」。これまでの、路面との対話を好まずに機械的にクルマを曲げていくような強引なイメージは影を潜め、路面をしっかりと捉えてタイヤのグリップを生かしながら走るスタイルに変わっているのだ。 もちろん、今までのランエボでも文句なく速かった。けれど、今までのランエボは「切れ味」重視のキャラクターで、スパッと狙ったラインに切り込んでいく爽快感や速さはあった反面、スイートスポットが狭く乗りやすさは足りなかった。それがエボIX MRは、スイートスポットを広くして乗りやすくなっているのだ。 そして、スイートスポットが広くなったとはいえ速さが劣ったのかといえば、決してそんなことはない。ここ一発的なドライビングではランエボIX に劣るものの、プロドライバーによるサーキットタイムアタックでもしない限りランエボIXよりも速いペースで走れるシーンが多いだろう。特に、路面に乱れがある一般的なワインディングでは、間口の広いサスペンションは運転のしやすさは大きな味方となってくれる。 しなやかになった走りとは対照的に、最終進化形の4G63エンジンはさらに鋭くなった。たとえギヤが6速でも2000rpmからストレスなく加速する“超”が3つ付いてしまうくらい太い鬼トルクに加えて、そこからターボが効き始めて高回転に移行するレスポンスは息をするのも忘れてしまいそうなほどの鋭さ。7000rpmまできっちりまわるだけでなく、高回転のパンチ力も一級品だ。本当に四半世紀前に基本設計されたエンジンなのか? と疑いたくなってしまうほどである。というか、これでランエボへの搭載を最後にしてしまうのがもったいないくらいだ。 |
ランエボのドライビングには、相変わらずコツはいらない。運転に自信があればブレーキングを限界まで詰めてもいいが、そうでなければコーナーにはゆっくり進入し、無理のない速度で曲がり、出口が見えたら進行方向に向かってハンドルを切りつつ、アクセルをガツンと踏めばいいだけだ。するとランエボはハンドルを切った方向にロケットのように加速していくし、リスクのないドライビングをしているにもかかわらず次のコーナーまでにはライバルと差が付いているだろう。 逆にいうとランエボは、ここまでの速さを身に付けているにもかかわらず、まだまだシャシーがエンジンに勝っている状態である。完成度のきわめて高いサスペンションが吸収できるパワーはもう少し高い位置にある。だから、ブースト圧を高める程度のチューニングを施せば、もっともっと走りをエキサイティングに楽しむことができるにちがいない。ランエボIX MRの登場により、ランエボがチューニングに対しても適応性の高いクルマだということを最確認した。 |
フロントバンパー左右下部はランエボIXよりもさらに下に延長。車体の下へ流れる空気を減らして空気抵抗の低減とフロントリフトの低減を実現している。 | フロントバンパー下部の左右両側に設けた「ヘコミ」は、車体側面の気流を剥離してホイールハウス内にこもる空気を効果的に抜くためのアイテムだが、エボIX MRを見わけるわかりやすい目印でもある。 | |||
三菱のスリーダイヤをイメージする、深紅の“MR”エンブレムをトランクリッドに装着。ちなみにMRとは「ミツビシレーシング」の略だ。 | フロントシートは、アルカンターラと本革の表皮を組み合わせたレカロ社製。アクセントとして、レッドステッチでコーディネイトしている。 | |||