TOP > web マガジン > 特集 バックナンバー > 2005-2006ドリフト進化論 > レブリミッターの新提案 |
最近のコンテストチャレンジャーは審査コーナーで「バババババッ…」とレブリミッターに当てながら走ってるのをよく目にする。シフトチェンジせずにアクセルを踏みきることで、少しでも安定した姿勢のまま飛距離を伸ばせることがあるし、レブリミッターが作動するときの異常な音で迫力も出る。ただ、フツーにレブらせるのはエンジンにあまりヨロシクない。デキるヤツは“点火カット方式”に変更してるらしいぞ! | ||
パワーバンドをキープするためだったり、次のコーナーにつなげるために飛距離を伸ばすためなど、ドリ車は高回転域をキープすることが多い。しかしエンジンの回転数が上がれば上がるほど、カムとバルブの追従がおかしくなって起こるサージングによってバルブがピストンと接触して壊れたり、SRエンジンではバルブを動かしているロッカーアームがカムから脱落してはずれたりとトラブルが多くなってしまう。その危険を避けるためには「レブリミッターをちゃんと使いこなさなきゃダメだよ」とフレンズの猪瀬くんは力説する。純正コンピューターでは設定回転数になると燃料をカットしてそれ以上エンジンがまわらないようになっている。これを?燃料カット方式?と呼ぶんだけど、この場合、レブってるときにノッキングが出やすく、作動するたびにエンジンにダメージを与えてるようなもの。「音も『バン…バン…』と中途ハンパでカッコ悪いし、フィーリングも悪いんだよね」と猪瀬くん。そこでオススメなのが?点火カット方式?のレブリミッターだ。これは燃料のかわりに点火をストップしてエンジンの回転数を抑える方法で、レブってるときにノッキングしないからエンジンへのダメージはほとんどなく「パーババババ…」とレブリミッターが作動する音も連続的でかなりの迫力! しかし、点火カットは純正コンピューターの書き換えでは設定できない。猪瀬くんのオススメはテクトムのIIC‐640だ。またFコンVプロなど点火カットできるフルコンもある。こちらはIC‐640よりも小刻みに点火カットが入るのが特徴。「パパパパパ…」と聞こえる音も変わるそうだよ。そのかわりアクセルを踏み続けると惰性でエンジンがまわってしまい200回転高く設定した燃料カットのレブリミッターに当たってしまうこともあるんだって。そのぶんIIIC‐640はまずオーバーレブしないのがいいんだそうだ。ただし、点火カットも万全っていうわけではなく、大きめのインジェクターを装着しているときにエビス南の1コーナーなど3秒以上レブに当て続けるとカブリやすいし、エキマニのなかで未燃ガスが爆発するため、エキマニが熱で割れやすい。だからレブリミッターの達人はコースに合わせて設定回転数を引き上げたり、点火カットをやめて燃料カットだけ使ったりと工夫しているんだな。 |
||
●燃料カットでレブらせちゃ、エンジンがヤバい! ●点火カットはレブったときの音がサイコー! ●テクトムIIC-640ならポン付けで点火カットできる! |
|||
チューニングショップフレンズの代表で、プライベート時代からコンピューターセッティングにハマっている。100万円以上するデータロガーも数台も揃え、いまやタービン交換車だけでなく、NOS仕様のクルマのセッティングも手がけている。彼がD1に参戦しているクルマはT67タービン+NOS仕様で600psを発揮するS15だ。 |
|||
※テクトムIIC-640で8200回転に点火カットを設定。燃料カットとちがい、点火カット(グラフ上の黄色線)が作動してもノッキング(グラフ下の黄色線)はまったくでていないのがわかる。またIIC-640は設定回転数よりも若干低い回転数で作動してしまうため、8200回転でセットしたが実際には8000回転で点火カットが作動している。正確に設定するにはこのようにデータロガーで確認する必要があるそうだ。IIC-640は細かくオンオフを繰り返しているため、大きく回転が落ち込まず8000回転をキープしているのが特徴だぞ。 |
※純正コンピューターで7800回転に燃料カットを設定。燃料カット(グラフ上の緑線)は設定した7800回転で作動しているが、エンジン回転数はそのまま惰性で上昇し8300回転までまわり、そのあと7000回転ぐらいまで回転が下がっている。SRエンジンの場合、この惰性で高回転まで回ったときにロッカーアームがはずれてしまいやすいそうだ。また燃料がカットされ空燃比が薄くなっているため、ノッキング値(グラフ下の黄色線)が振り切っている。 |
|||||
コンピューターはいじらずにIIC-640で新たに点火カットだけ設定することができるんだ。ただし燃料カットよりも低い回転数に設定すると有効な回転領域が減ってしまうため、燃料カットを引き上げるのがベスト。 |
これは燃料カットを8000回転に設定したGT-SSタービン仕様のS15。燃料カットが入ったときのノッキングによるダメージを減らすために、7500回転から8000回転の間の点火時期を18度から10度へと遅らせてノッキングを起こしにくくしているんだ。100%効果が期待できるわけじゃないし、パワーもちょっと落ちちゃうけどトラブルは起きてないそうだ。色線)が振り切っている。 |
|||||
点火カットが入っていてもアクセルを踏み込んでいくと、設定回転を越えてしまうことがあるため、点火カットの500回転ぐらい上に燃料カットを設定して、オーバーレブを確実に食い止めてくれる。レブリミッターのオンオフサイクルが細かいため、レブリミッターに当たった音も独特だ。 |
本体価格だけでも24万8000円と高価だが、点火カットを2ヶ所に設定して、ゆるやかに入れることが可能。ソフトカット回転数で徐々に切りはじめ、ハードカット回転数で完全に止めることで点火カットによるダメージを最小限に食い止めるんだ。燃料カットにも変更できるぞ。 |
|||||
点火カットが入っていてもアクセルを踏み込んでいくと、設定回転を越えてしまうことがあるため、点火カットの500回転ぐらい上に燃料カットを設定して、オーバーレブを確実に食い止めてくれる。レブリミッターのオンオフサイクルが細かいため、レブリミッターに当たった音も独特だ。 |
新しく生まれ変わったeマネージは、サブコンながら燃料マップと点火カットをそれぞれふたつずつ持ち、任意に切り替えられるツインマップ仕様。さらにいままでできなかった燃料カットに加え、点火カットも自由に設定できるようになっているぞ。本体価格も6万2000円とお手頃なので、IIC-640を買うのと同程度のコストパフォーマンスを持っているよ。 |
|||||
点火カットをすると未燃の燃料がエキマニ内で「ババババ…」と爆発している。そのためエキマニが真っ赤になるほど熱をもってしまうんだ。エキマニ割れの原因になりやすいから、排気漏れしていないか注意しよう。 江口さん(フレンズ) |
オーバーレブしやすい燃料カットよりは脱落しにくいそうだが、点火カットでも爆発した衝撃でロッカーアームがはずれてしまうことがある。ロッカーアームの脱落は高価なパーツを組まなくても、ラッシュアジャスターの高さあわせをするだけでだいぶよくなるらしいぞ。 |
|||||