R31のなかでも特別な1台として知られるのが、87年にグループAクラスのホモロゲモデルとして800台限定で発売されたGTS-R。
エンジンは、GTSツインカム24Vターボに搭載されるRB20DETをベースに等長ステンエキマニやギャレットTO4Eタービン、前置きインタークーラーで武装したRB20DET-R。最高出力は210psとRB20DETに対してプラス20psにとどまっているけど、ブーストアップのみで300psを達成。さらに、ピストンやコンロッドの強化と燃料系の容量確保、タービンのハイフロー加工によってグループAマシンとおなじ400psをねらえる…GTS-Rはそれくらいのポテンシャルを秘めているのだ。
R31専門店として国内ではもちろん、いまや世界にもその名が知られているR31ハウス店長の柴田サンいわく「ウチではGTS-Rを長く楽しんでもらうために“30%のパワーアップで乗りましょう!”ということをススメとるんですよ。カタログ値で210psやから、実測250〜260psくらいの仕様になりますね」とのこと。
そのサンプルがココで紹介する1台。エンジン本体は東名ポンカム(IN/EX256度 8.5mmリフト)を組み、あとはアクチュエーターを強化タイプに交換しただけの、ごく初歩的なブーストアップ仕様だ。これで最大ブースト圧は0.9kg/cm²にセットされ、260psを発揮する。
ただ、RB20DET-Rチューンの楽しみはパワーアップをねらうだけじゃない。「パワーをあげて速くするだけならRB25にでも26にでもスワップすればイイんです。それでもRB20DET-Rにこだわってチューニングするのは、純正で入ってる等長ステンエキマニの放つ“音”がスバラシく、それをとことん楽しみたい!って思うからなんですよ。だから、ウチでは排気系チューンにこだわってますね。そのサウンドは鳥肌が立つどころか、脳ミソがとろけるんじゃないか? って思うくらいですよ」と柴田サン。R31好きが高じてショップを開いてしまったひとがいうだけに、そのコトバにはやたら説得力があるってもんだ。 |
取材車両はR31ハウスオリジナルのフロントパイプとマフラーを装着。カム交換の相乗効果もあって、とくに高回転域でのサウンドは、思わず後頭部がシビレるくらいの気持ちよさだ。ちなみに、このR31のオーナーもGTS-Rを購入するイチバンの決め手になったのは“音”だったとか。
速さを求めるなら、パワーを出せるエンジンはほかにいくらでもあるし、もっといえばベース車がR31である必要もない。逆にいうとGTS-Rをチューニングするってことは「どこまで気持ちイイ音を出せるか?」を追求することにほかならないワケだ。
限定800台という希少性やチューニング適応力などがクローズアップされがちなGTS-R。でも、もっともGTS-Rらしさをかんじられるのは、RB20DET-Rでなければ出せない、唯一無二の超官能的なエキゾーストサウンドに尽きるのだ。 |