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日産 フェアレディZ バージョンST From JDM-OPTION [2007.02]
気になる新型車の実力チェック! 試乗レポート
日産 フェアレディZ バージョンST PART3
NISSAN FAIRLADY Z Version-ST
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豪快な加速に、エンジンをまわす楽しさを追加
 重めクラッチを踏み、ストロークの短い、そしてカッチリとしたフィーリングの6MTを1速に入れて走り出してみると、Zの加速は相変わらず豪快だ。排気量が3.5Lもあれば低回転トルクの太さはじゅうぶんすぎるほどで、アイドリング域でクラッチをミートしてもドロドロとしたいかにもV型エンジン(アメ車っぽいともいう)の音を響かせながら1.5トンと決して軽くはない車体を豪快に加速させる。スタートの勢いと迫力、そして力強さは、Z33登場時から変わらぬキャラクターでもある。
 しかし、07モデルだと実感されられるのはその直後。以前のエンジンとはちがい、レブカウンターは迷うことなくレブリミットである7500rpmを目指して一気に回転を上げていく。4000rpm以上はあまりにも重くて苦しく、エンジンを高回転までまわすよりも早めのシフトアップをしたくなる初期型とはずいぶんとちがう高回転フィールが待っているのだ。
 高回転の軽さだけでなくレスポンスもずいぶんちがうから、気を抜くと、気付かぬうちにレブリミットを迎えてしまうほどだ。というか、「レブリミッターを意識するようになったこと」そして「レブリミットを高めたくなったこと」がいままでのZとの最大のちがい。きっちりと高回転を楽しめるZになっていた。
 エンジンがおもしろくなった反面、変わらないのはワインディングロードを楽しむ味付けではないキャラクターだ。ステアリングに対するレスポンスに優れ、ジレットの4枚刃カミソリのように鋭く切れ込むクイックなスカイラインとは大きく異なり、ワインディングの動きは俊敏とはいいがたい。ターンインはマルチシリンダーによる鼻先の重さを感じる鈍さがあるし、ある程度速度の乗ったコーナーの安定感はさすがだが、タイトなコーナーではクルマの動きが落ち着きすぎている。
 とはいえ、グランドツアラーというZの性格を考えればクルマとしては間違っていないだろう。ステージを高速道路にかえれば、太いトルクとどっしり構えた直進安定性のおかげで長距離のハイスピードクルージングは大得意だ(若干乗り心地が悪い気がしなくもないけれど‥‥)。Zの07モデルをひとことでいえば、そんなグランドツアラーに、エンジンをまわす喜びが加わったモデルといえる。
 実は、頑なにこのキャラを引きずっているのには理由がある。マイナーチェンジで、「ワインディングを楽しむZ」が欲しいというユーザーのために日産は、「バージョンニスモ」というモデルをカタログに加えたのだ。これは、ニスモのエアロパーツに加えて専用のサスペンション、剛性アップボディなどを加えた「コーナリングを楽しむ」ためのモデル。近いうちに試乗してみたい仕様だ。
 つまり、ワインディングの走りはバージョンニスモにまかせて、ベーシックモデルはグランドツーリングに徹するということだろう。
「最新のポルシェは最良のポルシェ」という言葉を借りれば、やっぱり「最新のZは最良のZ」だった。チューニングベースとして考えても、ベース車両の高回転フィールの向上は大きなアドバンテージになるだろう。
鍛造アルミ製のアームを採用している、マルチリンクのフロントサスペンション。バージョンSや試乗したバージョンSTには、ゴールドのブレンボキャリパーも標準装備だ。 リヤサスペンションもマルチリンクで、鍛造アルミ製のアームを採用。こちらもキャリパーはブレンボ製だ。07年モデルに進化するにあたり、サスペンション関係の変更はないようだ。
試乗レポーター工藤ちゃんの総括
フェアレディZ バージョンSTの○と×
○
まわして楽しむ
快感が加わった新型エンジン!! ×
車重が重いだけでなく、
動きも軽くない‥‥
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