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日産 フェアレディZ バージョンニスモ From JDM-OPTION [2007.04]
気になる新型車の実力チェック! 試乗レポート
フェアレディZ バージョンニスモ
NISSAN FAIRLADY Z Version NISMO PART3
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走りは、ノーマルZとはずいぶん印象がちがう
 走りはフェアレディZの新車レポートのときは「動きがGT的だからワインディングは似合わない」なんていったボク。だけど、バージョンニスモはちょっと、いや、かなり印象がちがう。ひとことでいうと、ワインディングもしっかり楽しめるのだ。
 しかし、ニスモという名前やレーシーな見た目から想像するほど、走りの味付けはスパルタンじゃない。バネ定数は30%程度上げている専用サスペンションを装着しているけれど、街中はノーマルのZよりも乗り心地がいいほどだし、ワインディングでも適度にロールを許すセッティングだ。
 それでいて、ワインディングでのステアリングの応答性が磨かれている。ノーマルよりもノーズの入りがよく、旋回中もしっかりとラインを守ろうとする動きなのがうれしい。たとえば試乗した芦ノ湖スカイラインは2速で曲がる半径の小さな、奥がまわりこんでいるコーナーが連続する場所があるけれど、そこはノーマルZだとクルマが曲がり続けることを拒んで、旋回中にアクセルを緩めてしまうことがある。でもバージョンニスモだと、ステアリングを切ったぶんだけクルマ自身が曲がろうとし、素直にドライバーの言うことを聞いてくれる安心感を持っているのだ。はやい話が、ワインディングをしっかり楽しめる味付けになっている。
 バージョンニスモはスプリングやダンパーのほかに、専用のスタビライザーやパフォーマンスダンパーも備えている。そして、フロントピラー周辺の溶接面積アップやリヤストラットメンバーの補強パネル、ボンネット内の補強バーなどボディ補強にも手が入っているのが、走りに大きく効いているは明らかだ。ボディ補強は、生産ラインの途中でいったんラインからはずし、ホワイトボディに手作業で補強しているのだという。
 うれしいのは、このバージョンニスモがノーマルよりも上質な走りを手に入れていることだ。サスペンションは、突っ張るノーマルに対してストロークを重視しているのが伝わってくる。ロールはスタビで抑える、ダンパーはしっかりストロークさせてタイヤを路面に接地させる、車体の上下動はスプリングで抑える。それぞれを基本に忠実に働かせることで、スポーティな走りだけでなく上質な乗り味を実現しているのだ。
  ワインディングではスポーティに走れるし、足を固めてRE-01Rなんていうリアルスポーツタイヤを履いているのにもかかわらず街乗りや高速道路では乗り心地だっていい。
 ここまで完成度が高まっている理由はどこにあるというのだろうか? おそらく、日産ではないオーテックジャパンという会社が、日産本体とはちょっとちがうコストや生産管理の計算の下で、商品性を高めるために妥協せずに開発したからだろう。万人受けを狙うのではなく、本当の走り好きを狙って開発したフェアレディZ。ボクはこのバージョンニスモをそう解釈した。
 値段は、「バージョンS」よりも75万円以上高い。だけど、ここまで高い完成度を味わってしまうと、ローン返済を1年延ばしてでもバージョンニスモを買うべきだろう。75万円アップでこの走りが手に入るのなら、買っておかないと後悔する。
 ただ、欲をいえば走りのポテンシャルが上がっているだけに、ノーマルと同じスペックのエンジンでは物足りない。エンジンをチューニングするかそれとも、近日登場する「Type 380RS」という3.8Lエンジンモデルを待つか‥‥。結局、悩むことになりそうだ。
サスペンションは、フロント、リヤともにマルチリンク式。スプリングは赤、ショックはシルバーと、おなじみのニスモカラーだ。ブレンボの対向4ポットピストンキャリパーも標準装備。 サスペンションアームは鍛造アルミ製で、高剛性と軽量化を両立。バージョンニスモは、スプリングやショックだけでなくスタビライザーも専用チューニング品を組み合わせている。
車体の前後には、インプレッサなどに採用例のあるYAMAHA製のパフォーマンスダンパーを日産初採用している(写真は車両後部)。補強バーの一種だが、車体左右を連結するだけでなく適度に減衰を与えるのが特徴だ。 フロントのパフォーマンスダンパーは、バンパーの内に確認できる。適度な減衰を与えることで、操舵応答性と同時に乗り心地を高め、走りの質感を総合的に向上するアイテムだ。
試乗レポーター工藤ちゃんの総括
フェアレディZ バージョンニスモの○と×
○
ワインディングが楽しいだけじゃなく
乗り心地も上質なサスペンション
×
せっかくハンドリングの
レベルが高まったのに
エンジンがノーマルのままなんて‥‥
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